睡眠不足は筋肥大に悪い?睡眠と筋肉回復に関する研究

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睡眠不足は筋肥大に悪い?睡眠と筋肉回復に関する研究

睡眠は身体に重要なことは当たり前ですが、筋トレやダイエットをしていて体組成にこだわる人にはもっと重要です。

以前睡眠と脂肪燃焼の関係性について記事を書きましたが、今回は睡眠と筋肥大との関係性についてです。

予想通り、睡眠不足だと筋肥大には良くないです...

睡眠と筋肥大の関係性に関する研究

こちらの研究で、41の研究を参照し、睡眠と筋肉回復に関して考察がまとめられています。

結論から述べると、睡眠不足により筋合成が悪化し筋分解が促進されるため、筋肉回復に悪影響があると考えられるそうです。

その理由は、主に睡眠不足によるホルモンの変化です。どのような変化があるのか見ていきましょう。

睡眠不足によるホルモンの変化

簡単に言うと、睡眠が不足することで以下2つの働きに変化が起こります。

  • アナボリック作用のあるホルモンの減少
  • カタボリック作用のあるホルモンの増加

アナボリックとは、同化作用のことです。簡単に言うと、栄養が筋肉になったりする筋肥大に適した状態です。

反対にカタボリックは、異化作用のことです。筋肥大どころか、筋肉が分解されたりする状態を示します。

睡眠不足になるとアナボリック作用が弱まる

アナボリック作用のあるホルモンの中で、テストステロンとIGF-1が睡眠不足により減少することがわかっています。

また、睡眠時間が足りていても、睡眠中に何度も起床して睡眠の質が低い場合も、著しくテストステロンが減少するとわかっています。

テストステロンとIGFとは?

テストステロンとIGF-1は、筋肥大の中核を担うホルモンです。

テストステロンは直接筋肥大を高める作用があります。また、マイオスタチン(筋肥大を抑えるホルモン)を抑制するというデータもあります。

また、IGF-1もmTORを通して筋たんぱく質合成を高め、衛生細胞を増やす(筋繊維の核を増やす可能性が増える)ために重要なホルモンです。

これらの筋肥大に非常に重要なホルモン2つの働きが悪化してしまうため、睡眠不足や質が低い場合、筋肥大に悪影響だと考えられます。

睡眠不足になるとカタボリック作用が高まる

また、カタボリック作用のあるコルチゾールやマイオスタチンが睡眠不足により活性化します。

コルチゾールが増えると、筋たんぱく質合成が低下し分解も促進されるため、筋量の減少に繋がります。

急性なコルチゾール増加は問題なし

コルチゾールはストレスに対して出るホルモンのため、トレーニング中にも多く分泌されています。しかしながら、そのような急性な上昇は悪影響はなく、慢性的に多く分泌されていると悪影響が考えられます。

また前述した通り、テストステロンが弱まるため、その分マイオスタチンが活性化することになります。

マイオスタチンは筋肉増殖を防ぐホルモンであるため、筋肥大したい場合は抑えたいです。

結果として、睡眠が足りていないとカタボリック状態が生まれ、筋肥大に向いていない状態になります。

睡眠不足の筋肉回復への影響

トレーニングや怪我によって筋肉にダメージが加わった際には、当然ながら回復が始まります。

しかしながら、筋肉回復のプロセスは必ず「筋肥大のシグナル」が必要となります。回復も筋繊維を大きくするからです。

この「筋肥大のシグナル」は、先ほど述べたホルモンが大きく関わってきます。そのため、睡眠不足によるこれらのホルモンの変化が筋肉回復にも悪影響を与えることになります。

考えてみれば当たり前かもしれませんが、筋肉を回復させるには寝なければいけないということです。

停滞している方や身体が常に辛い方は、トレーニングや栄養だけではなく睡眠にも注意するべきだと思います。

睡眠と筋肥大について:まとめ

このように、睡眠不足になるだけでホルモンバランスが悪化し、筋肥大に向いていない状態になってしまいます。

  • アナボリックホルモンの減少
  • カタボリックホルモンの増加

睡眠時間と質だけでこれらの環境が変わってしまうので、睡眠は本当にしっかりとった方がいいです。

睡眠時間はどれくらいがいいか?

一般的には8時間は寝れた方がいいと思います。もちろん人によって前後するとは思いますが、少なくとも7時間は寝ておいた方が良いでしょう。

稀に4〜5時間の睡眠でも影響がない人がいるらしいですが、本当に羨ましい限りです。

他の記事でも紹介していますが、眠りにつけない人はメラトニンやグリシン、テアニンなど睡眠用サプリメントで寝れるように工夫した方がいいです。

筋肥大ではなく、脂肪燃焼と睡眠の関係性についても、睡眠時間が長い方が脂肪燃焼される?ダイエットに重要な研究結果でまとめていますので、読んでみてください。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

参考文献

  1. Dattilo M1, Antunes HK, Medeiros A, Mônico Neto M, Souza HS, Tufik S, de Mello MT. Sleep and muscle recovery: Endocrinological and molecular basis for a new and promising hypothesis Med Hypotheses. 2011 Aug;77(2):220-2. doi: 10.1016/j.mehy.2011.04.017. Epub 2011 May 7.

筋トレ研究所管理人

筋トレ研究所管理人

トレーニング、特にビッグ3が好きなパワーリフティング愛好家。マックスは、ベンチプレス135kg、スクワット215kg、デッドリフト255kg。筋肥大と筋力の最大化を目指して日々精進中。

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