最近トレーニーの間では流行りのシトルリンまたはシトルリンマレートですが、流行り過ぎていて正しくない情報も回っていると思います。
サプリメントは間違った摂り方をすると効果がないだけでなく、副作用に繋がる可能性もあります。
正しい情報を学んで効果的に摂取し、効果のある商品を買うようにしましょう。
シトルリン マレートってなに?
シトルリンマレートは、以下の2つの成分で出来ています。
- アミノ酸の一種であるシトルリン
- リンゴ酸
実はパフォーマンス向上などトレーニング目的の摂取では、シトルリンよりもシトルリンマレートの摂取の方が効果があるかもしれない、と研究結果から見えてきています。
シトルリンは自然に存在しており、スイカに多く含まれています。
シトルリン マレートのメカニズム
シトルリンの働き
シトルリンは、尿素回路を構成する3種類(他はアルギニンとオルニチン)のアミノ酸の内の1つです。
たんぱく質を代謝するときなどには有毒なアンモニアが発生しますが、これらのアミノ酸は肝臓でアンモニアを無毒の尿素へ変換します。
アンモニアは有毒なだけでなく疲労物質でもあるため、このプロセスをサポートすることで疲労回復を狙えます。
上記だけでなく、トレーニングで注目されるのは血管拡張の効果です。
シトルリンの血管拡張効果
シトルリンはで血中で、アルギニンへと変換されます。そしてこのアルギニンは、シトルリンへと変化し、その際に一酸化窒素(NO)を生み出します。
※「最初からアルギニン取ればよくないか?」と思った方へ、別の記事でまとめる予定なので少々お待ちください...結論としては、単体で考えるとシトルリンの方が効果はあります。
サプリメントにより量産された一酸化窒素により血管を拡張させることで、血流が増加し、筋肉に栄養や酸素が運ばれやすくなります。
この働きにより、パンプアップやパフォーマンスが期待できると考えられているんですね。
リンゴ酸の働き
リンゴ酸はクエン酸回路(TCAサイクル)に関わるトリカルボン酸です。
シトルリンと組み合わさることでどのように作用するかは未だ研究が浅いのですが、クエン酸回路に関わっているために筋肉の働きに好影響を与えると考えられています。*(1)
シトルリン マレートの研究と効果
続いて、シトルリンやシトルリンマレートの研究結果をみていきましょう。
シトルリン マレートとレップ数
レジスタンストレーニング(≒筋トレ)についての効果について調べると、レップ数やパフォーマンスの向上でポジティブな結果が見られます。
結論として、複数セットを行う際に後半のレップ数を向上させられる、と考えられます。3つの研究を以下に紹介します。
レップ数の研究:その① *(2)
- シトルリンマレートを8g摂取 vs プラシーボグループ
- 懸垂、逆手懸垂、腕立て伏せを限界まで3セット実施
- プラシーボとシトルリンマレートを入れ替えて1週間後に再度実施
- シトルリンマレートを摂取した時は著しくレップ数を向上
この研究では、8gのシトルリンマレートを運動前に摂取して、レップ数が向上しています。以下にまとめていますが、1セットに平均すると1〜2回は伸びている計算になるので凄い伸びです。(CM=シトルリンマレート、PL=プラシーボ)
種目 | CMレップ数 | PLレップ数 |
---|---|---|
懸垂 | 32.2 | 28.4 |
逆手懸垂 | 32.1 | 26.6 |
腕立て伏せ | 97.7 | 89.1 |
3種目3セット限界までと、かなりハードなトレーニングをしています。これがシトルリンマレートの効果が明確に出た要因の一つかもしれません。
レップ数の研究:その② *(3)
- シトルリンマレートを8g摂取 vs プラシーボグループ
- レッグプレス、ハックスクワット、レッグエクステンションをマックスの60%で限界まで5セット実施
- シトルリンマレートを摂取した時は著しくレップ数を向上(特にセット後半)
脚トレ15セット限界までと鬼畜のトレーニングですが...セット後半でのレップ数減少が抑えられています。例えばレッグプレスでは以下のようです。
1セット目から2セット目は普通にレップ数が減少していますが、3〜5セットの間でほとんど減少が見られません。トレーニングの後半も力が出るってことですね。
レップ数の研究:その③ *(4)
- シトルリンマレートを8g摂取 vs プラシーボグループ
- ベンチプレスとレッグプレスをマックスの80%で限界まで6セット実施
- シトルリンマレートを摂取した時は著しくレップ数を向上
今回は上半身も下半身も実施しています。以下のように、合計のレップ数が大きく向上しています。マックスの80%なので5〜6セット目とかほとんどレップ出来ない状態ですが、それでも結果が出ています。
種目 | CMレップ数 | PLレップ数 |
---|---|---|
ベンチプレス | 34.1 | 32.9 |
レッグプレス | 66.7 | 55.1 |
しかし、この研究ではセット間の休憩が120秒=2分しかなく、少し現実性がないという意見もあります。ベンチプレスを限界までやってレップ数稼ぎたかったら、普通は3〜5分休みますからね。
シトルリン マレートの研究結果について考察
1つ研究を読んでいて気になるのは、メニューが現実的なメニューではない可能性があることですね。
そもそも全てのセットを限界までやる、というメニューは現在のトレーニング科学としてはNGです。限界までやるとしたら最後の1セットとか、アイソレーション種目のみでしょう。
また、セット間の休憩時間も前述の通り気になります。レップ数を向上させたかったら、まずは休憩時間を長くしますよね。なので休憩時間が5〜10分の場合はどうなるのか見てみたいです。
とはいえ結果は非常にポジティブなので、以下のような人はシトルリンマレートを摂取するメリットがあると思います。
シトルリンマレートを摂取するべき人
- 忙しくセット間の休憩が長く取れない人
- 限界まで追い込むセットが多い人
- パンプアップを追求したい人
- 上記には当てはまらないけど、パフォーマンスが伸びる可能性があるならお金は惜しまない人
セット間が短い人や、限界まで追い込む人は間違いなく摂取をオススメします。研究で直接結果が出てますからね。
また、単純にパンプアップさせたい人も摂るべきでしょう。前述した通りシトルリンのメカニズムとして血流を向上させます。
これらに当てはまらなくても、シトルリンマレートはサプリメント界の中では根拠が固い方だと言えます。なので、お金が余裕があれば摂取するべきだと思います。
シトルリン マレートの推奨摂取量やタイミング
じゃあどれくらい・どのタイミングで摂ればいいのでしょうか。答えは研究で出ていますね。
推奨の摂取タイミングは、筋トレの1時間前、摂取量はシトルリンマレートを8gです。
研究ではシトルリンではなく、シトルリンマレートが使われていることに注意してください。マレート(リンゴ酸)がシトルリンと組み合わさることで効果が出ている可能性もあります。必ずシトルリンマレートを摂りましょう。
シトルリン マレートに副作用はあるのか?
続いて副作用についてですが、今のところ確認されておりません。
しかしながら、大量に摂取すると消化不良により下痢などになる可能性があります。少し怖い方は少なめの量からスタートし、徐々に量を増やすようにしましょう。
ちなみに、アルギニンとシトルリンを比べると、アルギニンの方がお腹を下しやすいです。
筋トレ時にオススメのシトルリン
最後に、筋トレしている方にオススメのシトルリンを紹介します。
条件は単純で、①シトルリンマレートであること、②とにかくコスパ、です。味に差があるわけでもないので、コスパにこだわっていいと思います。
最近注目されていて品切れになることも多いので、念の為3つ紹介しておきます。
マイプロテインのシトルリンマレート
やはりコスパ最強はマイプロテインですね。セール時に500g(250gを2つ)で1,580円で買えました。(※価格は変動していると思います。)
安いからといって低品質でもなく、ちゃんと飲めますし効果もあります。マイプロテインはINFORMED SPORTをはじめとする第三者認証を重要視しているブランドなので、安全性は保証されています。
ALLMAXのシトルリンマレート
続いて「シトルリンだけ買いたいけどマイプロテインは送料が...」という方や「マイプロテインが品切れだった時」にオススメのものです。基本的にiHerbでの購入をオススメします。
ALLMAXの商品はどれもコスパに優れていますが(クレアチンなど)、シトルリンマレートも非常にお手頃です。
300gで2,121円(2019年9月@iHerb)だったので、マイプロテインには劣りますがまだまだコスパ抜群でしょう。»iHerbでお探しの方はこちら
シトルリン マレートの効果について:まとめ
ここまで読んでくださった方々、ありがとうございます!
長くなってしまったので、少し復習しましょう。
- 疲労物質アンモニアを無毒の尿素に変換し、疲労回復
- 一酸化窒素を発生させ、血管拡張・血流向上につながる
- 摂取することで、セット後半のレップ数が向上する
- 血流向上によりパンプアップにも繋がる
- トレーニング1時間前にシトルリンマレート8g摂取がオススメ
サイエンスも固いですし、そんなに高いものでもないので迷っている方にはぜひ試してもらいたいです。
使用レビューも近日公開予定ですが、私が摂ってみた感想としては、パンプが凄いことになるのと、トレーニング後半で力が出やすいこと、ですね。明確に効果を感じました。
またよろしくお願いします!
参考文献
- ISSN exercise & sports nutrition review update: research & recommendations
- Effects of Supplemental Citrulline-Malate Ingestion on Blood Lactate, Cardiovascular Dynamics, and Resistance Exercise Performance in Trained Males
- Effects of Supplemental Citrulline Malate Ingestion During Repeated Bouts of Lower-Body Exercise in Advanced Weightlifters
- Acute citrulline malate supplementation improves upper- and lower-body submaximal weightlifting exercise performance in resistance-trained females