「ベンチプレスで100kgを目標にしてるけど、中々到達できない」というあなたへ。男性であれば、ベンチプレスで100キロは、努力すれば必ず誰でも挙げることができます。重要なことは、その努力の方向性です。
本記事では、ベンチプレスを強化するためのフォームや補助種目、トレーニングプログラムを紹介します。
フォームを見直す
ベンチプレスが強い人は、身体が安定していて、綺麗にバーベルを押し上げるベースが出来ています。100kgが上がらない場合、上手くセットアップ出来ていなかったり、脚を使えていないことが多いです。
コツは、肩甲骨・グリップ幅・レッグドライブになります。この3点を集中的に改善していきましょう。
肩甲骨のセットアップ
「肩甲骨を寄せる」ということをよく聞きますよね?実はこれだけだと、まだ50%の状態です。さらに重要なのは、「肩甲骨を立てる」ことです。
肩甲骨の寄せでは、背中で指を挟むようにして肩甲骨を動かします。
一方で、肩甲骨を立てるには、肩甲骨を寄せた状態で肩甲骨を下げます。こうすることで、胸郭があがり、いわゆるアーチが出来上がります。これが「肩甲骨の立った」状態です。
肩甲骨を立てることで、以下のようなメリットがあります。
- 挙上距離が短くなる。
- 大胸筋を効率的に動員できる。
- 上半身を固定し、力が入れやすくなる。
肩甲骨を今まで意識していなかった人には感覚が難しいかもしれません。ケーブルプルオーバーやラットプルダウンなどで、肩甲骨を上から下に動かす感覚を意識することをオススメします。
グリップの幅
続いて、グリップ幅です。グリップ幅は単純に思えて、考え始めると中々決まりません。そのため、以下の2点をシンプルに判断しましょう。
1つ目は、一番自然で一番強く押せる感覚がある幅です。
ほとんどの方はすでにこの幅でベンチプレスを出来ていると思うので、そんなに深く考えなくていいです。しかし、どこかで話を聞いて広くしていたり狭くしていて、不自然に感じるようであれば、まずは自然な位置で始めましょう。
2つ目は、上記の自然な感覚がある前提で、最大限の広さにすることです。
矛盾しているように感じるかもしれませんが、グリップが広い=挙上距離が減るため、やはり結果は出やすいです。
ですが、無理をして広げすぎると肩や胸に負荷がかかり怪我のリスクが高まります。テクニックも必要になってくるため、広くしたい場合も、指1本分ずつ広くしていきましょう。
レッグドライブ
フォームについて、最後の点は、「レッグドライブ」です。レッグドライブは、脚の力を、上半身に伝える、ということです。
よくベンチプレス初心者にありがちなのが、脚が常に動き回っていたり、一切脚に力が入っていないことです。上半身の種目なのに、なぜ脚に力を入れる必要があるのか?と思うかもしれません。しかし、レッグドライブはベンチプレスの重量を伸ばす上で、非常に重要になってきます。
レッグドライブの動作自体は単純です。脚をレッグエクステンションにように、前方に蹴り出すだけです。この時、身体は後ろへ動きそうになったら、正しい力の入れ方です。
当然ながら、実際に脚に力を入れて、ベンチプレス中に身体が後方へすべったら大変なことになります。そのため、先ほどの「肩甲骨を立てる」ことが重要になります。肩甲骨を立て、上半身を固定しておくことで、脚からの力が、上半身の力となります。
また、力が加わるだけでなく、アーチも高くなる場合も多いです。
力を入れるタイミングは個人差もありますが、最大限に脚を蹴るのは、ベンチプレスをボトムから押す瞬間です。バーバルを下げて、挙げる瞬間に同時に脚も力を入れましょう。最初は違和感があるかもしれませんが、慣れてきたら確実に出力の向上を感じるはずです。
以上がフォームの改善点となります。中々言葉だと難しいかもしれないので、動画もチェックしてみてください。下記の動画は、ベンチプレス216.5kgの鈴木選手の解説動画です。丁寧に説明してくださっているので、この動画を全部吸収しましょう!
ベンチプレスのフォーム解説動画はこちら
ベンチプレスのための補助種目
ベンチプレス100kgを到達するには、ベンチプレスをやることが最優先です。しかし、今までベンチプレスしかしていない場合は、筋肉がアンバランスに成長しているかもしれません。
また、そうでなくても、ベンチプレス以外で主要の筋肉に刺激を与えることは効果的です。ベンチプレスでは強化できない部分をカバーして、重量アップを目指しましょう。
インクラインベンチプレス
ベンチプレスの補強として、オススメできる種目トップ1は、インクラインベンチプレスです。身体を30〜45度起こした状態で行うベンチプレスになります。
インクラインベンチプレスでは、通常のベンチプレスで刺激の弱い、大胸筋上部や三角筋前部を強化することができます。特に三角筋は、ベンチプレスのボトムで重要な筋肉になるため、最初ボトムから押すのが苦手な人にはオススメな種目です。
また、インクラインベンチプレスはダンベルで行うことを推奨します。ダンベルの方が身体に自然な腕・肘・肩の動かし方が出来、身体への負担が少ないです。普段のベンチプレスで関節に負担がかかっているため、負荷を増やさないよう、ダンベルで行いましょう。
インクラインベンチプレスのやり方は以下の動画をチェック
クロースグリップベンチプレス
次にオススメなのは、クロースグリップベンチプレスです。ナローベンチプレスとも呼ばれ、通常より狭いグリップ幅で行うベンチプレスです。
特徴は、上腕三頭筋への刺激が強いこと、挙上距離が長いことの2点です。三頭筋はロックアウトの際に必要なため、いつもロックアウトで失敗してしまう人にはオススメです。
また、挙上距離を長くすることで、主要筋肉全てへの負荷が高まります。(仕事量が増えるため)そのため、純粋に筋肥大にも効果的です。 通常の手幅のベンチプレスよりも、軽い重量で強い刺激を得られるため、怪我のリスクも低いです。
筋肥大に向いていることと怪我のリスクが低いことで、パワーリフターのオフシーズントレーニングにもよく取り入れられています。一旦通常のグリップ幅から離れることで、違和感があるかもしれません。しかし、1〜2ヶ月クロースグリップをやり込めば、必ずベースが強化されているはずです。
クロースグリップベンチプレスのやり方は以下の動画をチェック
ケーブルフライ
最後に、補助種目でのオススメはケーブルフライです。ベンチプレスは大胸筋の種目であり、やはり大きい大胸筋=強いベンチプレスです。そのため、フライで大胸筋の筋肥大を狙います。
中には、「ケーブルフライで出来た大胸筋はベンチプレスに繋がらない」と主張する人もいます。当然ながら、ケーブルフライだけをやっていても、ベンチプレスは伸びません。しかし、ベンチプレスをやっていて、テクニックが固まっていれば、筋肉が大きくなることで必ず重量は伸びます。(統計的なデータからも大きい筋肉≒マックス重量が高い、ということはわかっています。)
ケーブルフライでなくて、ダンベルでも構いません。目的は、疲労度を抑えながらも大胸筋を刺激する、です。インクラインやクロースグリップなど、色々やっていると関節の負荷が高まってきてしまいます。補助種目で怪我してしまったら本末転倒ですので、アイソレーション種目を取り入れて、関節は楽をしながら、筋肉に刺激を与えましょう。
ケーブルフライのやり方は以下の動画をチェック
100kg達成までのプログラム
補助種目を紹介しましたが、プログラムへの取り入れ方や頻度も考慮しなければいけません。最短で100kgに到達するために、効率的なプログラムを作成しましょう。
頻度
ベンチプレスは週1回のみ、なんてことはありませんか?重量を伸ばすためには、1回のみだと効率がよくありません。
少なくとも、週2回はベンチプレスの日を作ることをオススメします。練習量が2倍になりテクニックが向上しやすく、補助種目を取り入れる余裕が出来るからです。
疲労が強くて週2回も出来ない、と思う人もいるかもしれません。その場合は、1回の強度が高すぎる可能性があります。毎回、ギリギリまで追い込む必要はありません。1-2レップ余裕を持ってセットを終えるくらいを目安にベースのトレーニングをしましょう。
セット数
次に考えなきゃいけない要素は、セット数です。頻度を増やすと必然的にセット数も増えるので、増えすぎないように、バランスのいい配分が必要になります。
目安は、10〜20セット/週です。インクラインなどの補助種目も含めてです。フライなどのアイソレーション種目はほとんど身体への負担がないので、カウントしなくても大丈夫です。
まずは少ないセット数から初めて、少し停滞したら増やすようにしましょう。
プログラム参考例
前述した補助種目や頻度、セット数を考慮したサンプルです。これをベースに、自分専用にカスタマイズしてください。
- 1日目
- ベンチプレス: 3セット 6レップ
- インクラインダンベルプレス: 3セット 10レップ
- ケーブルフライ: 3セット 12レップ
- 2日目
- ベンチプレス: 3セット 4レップ
- クロースグリップベンチプレス: 3セット 8レップ
重量を伸ばすための食事
ベンチプレスの重量を伸ばすためには、トレーニングだけでなく食事も改善すると効果的です。いくらトレーニングを頑張っても、食事が足りていないと結果は出ないので、必ず食事を意識しましょう。
増量のための摂取カロリー
身体を絞りたい訳ではなければ、増量してしまうのが、ベンチプレス100kg達成に一番手取り早いです。ただ、ペースが早すぎても脂肪だけが増えて勿体無いので、効率的に増量しましょう。
今の食事で体重に変動がないようであれば、1日に200〜500カロリーを追加しましょう。体重が増えれば自然と筋肉量も増え、簡単にベンチプレスの重量が伸びてきます。
サプリメント
最後に、サプリメントです。サプリメントでオススメは、クレアチンです。
クレアチンは、瞬発的な運動に使われるエネルギーです。牛肉1kgあたり5gしか含まれていませんが、サプリメントとして取ることでその5gを簡単に摂取できます。
クレアチンが体内に増えていくことで、瞬発的な運動のエネルギー源が増え、ベンチプレスなどのマックス向上に繋がります。反応がいい人だと、5〜10kgはクレアチンを取るだけで伸びてしまいます。
摂り方は、1日5gをトレーニング後や食事後に摂りましょう。ローディングなど短期間で効果を出す方法もありますが、あまり気にせず毎日5g取っていれば問題ないです。
まとめ
以上が、ベンチプレス100キロを達成するためのコツです。
前述した通り、100kgは成人男性であれば必ず達成できる重量です。諦めず、1つ1つの項目を見直して、100kgに辿りつきましょう。
ベンチプレスの重量だけでなく胸筋の筋肥大が目的という方は、マイクイズラテルによる大胸筋のトレーニングメニュー:筋肥大のコツをお勧めします。