海外のトレーニーやパワーリフティング界では超有名なスターティングストレングス(Starting Strength)。
初心者ならまずこれから始めておけば間違いない、という雰囲気であらゆる所で紹介されています。
本記事では、スターティングストレングスのプログラムや内容の説明と、私個人の評価や考えを書いていきたいと思います。
スターティングストレングスの概要
スターティングストレングスは、マーク・リプトー(Mark Rippetoe)によって執筆された本です。
その本の中で、スクワット・ベンチプレス・デッドリフトの基礎的な種目のフォームを説明していたり、プログラムが紹介されていたりします。
メッセージが非常にシンプルで初心者にも伝わりやすく、スターティングストレングスの基準というものは世界でもかなり普及しています。
スターティングストレングスのプログラム
スターティングストレングスの一番の特徴は、毎回使用重量を2.5kg/5kg増やすことです。
- ベンチプレス・ショルダープレス → 毎回+2.5kg
- スクワットデッドリフト → 毎回+5kg
週に3回トレーニングを行い、次のセッションにはかならず上記の重量をあげます。そうすることで適切に身体に負荷をかけていきます。
フェーズ1のプログラム内容
フェーズ1は、本当にトレーニング初心者の人が対象です。
もしくは、スクワットやベンチプレス、デッドリフトに取り組んでいなかった人も対象になるでしょう。
- 期間は1〜3週間程度
- トレーニングAとBを交互に行う
- AとBで、ベンチプレスとショルダープレスを交互にする
トレーニング初心者という前提のもと書かれているので、ある程度の経験者は全く同じやり方をしない方がいいと思います。
トレーニングA
種目 | セット数 | レップ数 |
---|---|---|
スクワット | 3 | 5 |
ベンチプレス/ショルダープレス | 3 | 5 |
デッドリフト | 1 | 5 |
トレーニングB
種目 | セット数 | レップ数 |
---|---|---|
スクワット | 3 | 5 |
ベンチプレス/ショルダープレス | 3 | 5 |
デッドリフト | 1 | 5 |
フェーズ2のプログラム内容
フェーズ2は、上記のプログラム後、基礎的な力がついてきたことを前提としています。
伸びる速度は個人差があります。目安として、特にデッドリフトの回復が追いつかないと感じてきたら、フェーズ3に移行しましょう。
- 期間は数週間〜数ヶ月と個人差が大きい
- トレーニングAとBを交互に行う
- AとBで、ベンチプレスとショルダープレスを交互にする
また、デッドリフトとパワークリーンも交互にする
デッドリフトを週3回やるのは回復が追いつかないため、パワークリーンが採用されています。
パワークリーンは瞬発力の向上に有効で、スポーツ選手のトレーニングにもよく使われています。
トレーニングA
種目 | セット数 | レップ数 |
---|---|---|
スクワット | 3 | 5 |
ベンチプレス/ショルダープレス | 3 | 5 |
デッドリフト | 1 | 5 |
トレーニングB
種目 | セット数 | レップ数 |
---|---|---|
スクワット | 3 | 5 |
ベンチプレス/ショルダープレス | 3 | 5 |
パワークリーン | 5 | 3 |
フェーズ3のプログラム内容
フェーズ3は、前述した通り、デッドリフトとパワークリーンからの回復が追いつかなくなったタイミングで開始します。
3回連続で重量が伸びなかったくらいを目安にすると良いでしょう。
- 期間はトレーニング毎に重量が伸ばせなくなるまで
- トレーニングAとBを交互に行う
- AとBで、ベンチプレスとショルダープレスを交互にする
- AとBで、デッドリフト/パワークリーンと懸垂を交互にする
スターティングストレングスの最終段階であり、初心者の伸び率が落ち始める時期です。こんなに重量が伸びる時期はないので、最後まで重量を伸ばしきりましょう。
1〜2週間重量が伸びなくなったら、卒業の時期だと思います。
トレーニングA
種目 | セット数 | レップ数 |
---|---|---|
スクワット | 3 | 5 |
ベンチプレス/ショルダープレス | 3 | 5 |
デッドリフト(パワークリーン) | 1(5) | 5(3) |
トレーニングB
種目 | セット数 | レップ数 |
---|---|---|
スクワット | 3 | 5 |
ベンチプレス/ショルダープレス | 3 | 5 |
懸垂 | - | - |
スターティングストレングスのメリット・長所
スターティングストレングスのメリットは、以下のようだと思います。
- 重量を効率よく素早く伸ばせる
- ビッグ3の基礎が固まる
- トレーニングメニューに悩まなくていい
1つ目のメリット
やはり一番のメリットは、重量が爆発的に伸ばせることです。
まあ初心者であれば何をやっても伸びるのですが...意外とそれを知らずに勿体無いメニューを行っている初心者の方は多いです。
スターティングストレングスでは、毎回重量をあげるため、機会を逃すことなく使用重量を毎回更新できます。
2つ目のメリット
次のメリットは、筋トレの中でもめちゃくちゃ重要なビッグ3を、初心者のうちにマスターできることです。
世の中には「ビッグ3不要派」も存在しますが、スクワット・ベンチプレス・デッドリフトができていればかなりの身体が出来上がります。
また、一番身体を使う種目なので、ダンベルやマシンなどの種目を初めてやっても、結構簡単に慣れることができます。
中級者・上級者になってからビッグ3をやろうとすると慣れていなくて辛すぎるので、初心者のうちに学べるのは大きいですね。
3つ目のメリット
最後のメリットは、トレーニングメニューに悩まなくていいことです。
初心者にありがちなのは、色々な種目をやりすぎて、結果が出ないことです。
結果を出すのに必要なのは、多様な種目をやることではなく、1つの種目をやり込むことです。
※もちろんアームカールだけでは身体は大きくなりません笑
無心になってビッグ3を中心とした種目に打ち込めるので、必然的に結果が出ることになります。
スターティングストレングスのデメリット・短所
続いてデメリットは以下になります。
- トレーニングが単調でつまらない
- 下半身種目が多すぎる
- 色んな種目に慣れられない
1つ目のデメリット
デメリット第一位は、トレーニングが単調すぎて飽きてしまうかもしれない、です。
ここは完全に好みの問題ですが、人によっては毎回同じようなトレーニングメニューだと飽きてしまいます。
そういう方は、スクワットとレッグプレスを交互にしたり、ベンチプレスをインクラインベンチプレスにしたり工夫しましょう。
結果を出すのは種目ではなく継続性です。
2つ目のデメリット
2つ目は、下半身のトレーニング比重が多いことです。
一般トレーニーだと、基本的には上半身を鍛えてかっこいい身体になりたい...はずです。
一方でスターティングストレングスはスクワットやデッドリフトのボリュームが多いです。下半身の方が発達しやすいメニューになってます。
基本的に上半身の方が筋肥大のためにはボリュームが必要なので、「上半身がでかくなればいい!」という方はスクワットとデッドリフトを週1にして、ダンベルやマシンの補助種目をいれましょう。
3つ目のデメリット
最後のデメリットは、種目が少なすぎて色々な種目に慣れることができない点です。
「さっき1つの種目をやり込むべき、と書いていなかったか?」と思っているかもしれませんが、その通りです。
種目が少ないことはメリットでもありデメリットでもあります。
人によっては、ダンベルやマシン種目をいざ行う時に、かなり違和感を覚えるかもしれません。
また、同じ動作を繰り返し行うことによる怪我のリスクも若干高まります。
うまく微調整して、ダンベルベンチを取り入れたり、ブルガリアンスクワットを入れたりするのもありでしょう。
スターティングストレングス:考察
以上がスターティングストレングスのプログラムとメリット・デメリットになります。
前述した内容を踏まえて、私は以下のような人たちにはスターティングストレングスをオススメします。
- 何をやっていいのかわからない初心者
- ビッグ3の基礎を固めたい人
- トレーニングに復帰したい人
やはり初心者が重量を上げていくためには非常に効果的なプログラムで、ビッグ3のフォーム習得にもうってつけです。
また、トレーニングに復帰する人もいわば初心者状態なので、スターティングストレングスを行えば早くピーク時の重量に復帰できると思います。
一方で、飽きやすいひとには工夫が必要なプログラムでもあるので、上手く微調整して行なっていきましょう。
本記事を読まれている初心者の方がいたら、今すぐ実施することを僕はオススメします。拝読ありがとうございました!