DNSアイアンSPの禁止物質混入について解説【ドーピングになるのか?】

7分で読める

DNSアイアンSPの禁止物質混入について解説【ドーピングになるのか?】

ジャイアンツのオフィシャルパートナーであるDNSのサプリメントからWADA禁止物質でて、凄いニュースになってますね。

DNSはアンチドーピング活動をしっかり行っている印象だったので驚きです。

実際に何が起こったのか、原因は何なのか、悪影響はあるのか等調査してみました。

DNSアイアンSP:WADA禁止物質

今回ニュースになったアイアンSPに混入されていた禁止物質は、以下の三種類です。

  • DHEA
  • 5(6)-androstane-3b,17b-diol
  • 5-androstane-3b, 17a-diol*

これらの物質は、WADA指定禁止物質(*および禁止物質に準ずるもの)となっています。(WADA PROHIBITED LIST JANUARY 2019参照)

上記物質は、男性ホルモンであるテストステロンの前駆体です。

そのため、アナボリック作用=蛋白同化作用を持つとして、禁止となっているようです。超簡単に言うと飲めば筋肉がデカくなるという意味ですが、摂取者や摂取量に大きく左右されると思われます。

※混入物質は、DNS公式サイトのアナウンスを参考としています。

DNSアイアンSPの主要含有成分

成分含有量
9.0mg
0.9mg
ビタミンB61.4mg
ビタミンB122.4μg
ビタミンC100mg
葉酸240μg
コエンザイムQ1060mg

※3粒879mgあたり

調べてみたところ、本来入っている成分自体は純粋に鉄分補給目的で、筋肉増強的な要素は一切ないです。

DNS公式サイトでも発売時に以下のように説明しています。コンセプトは、筋肥大のため・パフォーマンスのため、というよりは身体のコンディショニングをサポートするためのサプリメントという感じでしょう。

ハードに運動している人が意外と不足する鉄を補うほか、赤血球の合成を助ける銅や、身体を酸化から守るといわれるCoQ10、各種ビタミンを配合した設計となっております。 持久系の種目に取り組む方や女性にもオススメのサプリメントです。

引用元:【新商品】IRON SP(アイアンスーパープレミアム)販売開始

禁止物質混入の経緯

この禁止物質は当該商品には本来含まれていない成分です。当該商品の製造されたラインに残存していた禁止物質が混入した可能性があり、原因究明を進めております。

引用元:DNS「アイアンSP」よりWADA禁止物質検出のご報告

上記の通り、経緯に関してはメーカーである株式会社ドームから詳細に述べられておりません。

公式サイトに書かれているように、工場側で何か別の商品の成分が混ざってしまったのではないかと推察します。混入した原材料を使っているサプリメントや医薬品を作っている工場と同じなのでしょう。(あくまで筆者個人の考えです。)

DNSアイアンSPでドーピングになるか?

推定混入量からすると「スポーツにおけるサプリメントの製品情報公開の枠組みに関するガイドライン」が定める製品分析上の検出限界(100ナノグラム/グラム)以下、または検出限界程度であり、極めて微量です。 ドームとしてはドーピング検査で陽性反応が出る可能性は極めて低いと考えております。

引用元:DNS「アイアンSP」よりWADA禁止物質検出のご報告

DNS公式サイトでは、上記の通り、今回の禁止物質混入によってドーピングにひっかかる可能性は極めて低い、と説明されています。

ドーピングは「成分が検出されるかされないか」ではなく、「検出限界量を超えて検出されるかどうか」で判断されます。

これは自然に存在しているものでも禁止物質リストに載っているからです。

市場に出回って商品の回収を行っているため、「本当はもっとやばいんじゃないか」と疑う人もいるようですが、純粋にメーカーとしての責任を果たしているのでしょう。

サプリメントじゃなくてお菓子とかでも、予期していない成分や原材料が混ざっていたら回収しますからね。

DHEAとは

混入していた物質の気になる効果ですが、DHEAは以下のような効果があるかもしれないと研究でわかっているようです。

  • 骨密度の向上
  • うつ状態からの回復
  • 不妊治療
  • 老化した肌の改善

引用元:①Dhea: Uses, Side Effects, Interactions, Dosage, and Warning②Should You Take DHEA Supplements?

禁止物質に含まれるほどなので筋力向上とか筋肥大効果があるのかと思っていたら、研究結果は出ていないらしいです。しかし理論上はこれらの効果があってもおかしくないとのこと。

実際に高齢者や虚弱体質の人には筋肥大の効果があることが、研究結果でもわかっています。BCAAやHMBでも同様に高齢者や運動をしていない人の方が効果が出ることがあります。

5(6)-androstane-3b,17b-diol, 5-androstane-3b, 17a-diolとは

上記2つに関しては、リサーチしてみたもののどのような効果があるのかわかりませんでした...学術的なページしかヒットせず筆者には理解出来るレベルじゃないです。

今しばらく調査を続けて、詳細が分かれば追記したいと思います。

インフォームドチョイスの認証制度・仕組みについて

ソーシャルメディアを探索していると「なんでこの商品だけインフォームドチョイスを取っていないんだ」などの声を見かけます。

インフォームドチョイスの分析プロセスについて、自分も詳しくなかったので公式サイトを拝見しました。

インフォームドチョイス認証まで

  1. 商品の成分や原材料の評価、生産元、工場などの審査が行われる
  2. 最低3ロット分の中からサンプルを取り成分の分析が行われる
  3. 上記2つをクリアすると、インフォームドチョイスの認証を取得できる

引用元:Certification Process

ここで2番目の項目が今回の出来事に重要になってくると思います。

3ロット分の分析が必要という点についてです。恐らくですが1ロットの生産に最低でも数百個、多ければ数万個単位で工場は商品を作るでしょう。

メーカー側が発売前にインフォームドチョイスを取得しようとすると、これら3ロット分の費用や在庫を負担することになります。

食品の販売や製造について詳しくはありませんが、賞味期限が存在するため、3ロット分の製造と分析を待つと1ロット目の廃棄リスクが高まると思います。

そのため、発売してから途中でインフォームドチョイスを取得するという形式にしているのだと推測します。ビジネス的にそうしないと厳しいからです。

DNS程の大手メーカーでも今回のように行っているので、ほとんどの企業が発売してからインフォームドチョイスなど第三者機関の認証を取得しているのではないでしょうか。(機関毎の分析ルールにもよります。)

アイアンSPの禁止物質混入に関する筆者の考え

個人的には、DNSに悪意がなかったように思えますが、市場に出回りしかもスポーツ選手に提供してしまったことに関しては責任を取らなければいけないと思います。

しかしながら、正直今回の混入量は黙っていればバレなかったレベルだと思います。そう考えるとDNSのアンチドーピングに対する真摯さが見えます。

アンチドーピングを強く謳っているメーカーですので、今回のような出来事が起こってしまい残念です。GASPARIなども禁止物質混入が問題になっていましたが、メーカーの立場的に少し今回は違うと思います。

健康には害が無さそうなので、サプリメントって本当に際どい立場にいるな...と感じさせられます。あくまでWADAの禁止リストに乗っているだけで、一般消費者には関係ないですからね。それなのに一般消費者も取ったらアウトと思ってしまいます。

今回の出来事によりアスリートの方々はどのサプリメントを摂ればいいか、非常に神経質になる必要があると分かると思います。

また、「国産だから安全」という考えも、もう時代遅れかもしれません。出産国やメーカーではなく、商品単位で第三者機関の認証を確認するようにしましょう。

引き続きリサーチを続けようと思いますが、この記事で少しでも状況が理解できたようであれば嬉しいです。読んでいただきありがとうございました。


筋トレ研究所管理人

筋トレ研究所管理人

トレーニング、特にビッグ3が好きなパワーリフティング愛好家。マックスは、ベンチプレス135kg、スクワット215kg、デッドリフト255kg。筋肥大と筋力の最大化を目指して日々精進中。

スポンサーリンク