筋トレとカフェインの効果 | 筋力・レップ数・疲労に効く

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筋トレとカフェインの効果 | 筋力・レップ数・疲労に効く

筋トレをしていなくてもコーヒーやエナジードリンクで頻繁にカフェインを摂取している方は多いのではないでしょうか。

カフェインはプレワークアウトにも含まれているほどで、筋トレにもポジティブな効果があります。

しかしながら、使い方を間違えると効果が落ちてしまったり、副作用が出やすい物質でもあります。

本記事ではカフェインのメカニズムや研究結果を解説し、今後カフェインを上手に使えられるような情報をお伝えします。

カフェインとは?

カフェインは、コーヒー豆や茶葉の中に自然に含まれている物質です。そのため、ご存知の通りコーヒーやお茶を飲むとカフェインを摂取していることになります。

また、天然のものだけではなく、サプリメントなどを目的として合成して作られることもある物質です。

カフェインは刺激物であり、「眠気を覚ます」効果や「疲労感をなくす」効果があると一般的に知られています。

カフェインのメカニズム

そんなカフェインですが、実際にはどのようなメカニズムで効果を発揮しているのでしょう。

Davisらによる2009年の研究によると、以下のメカニズムが考えられます。*(1)

  1. アデノシン受容体をブロック
  2. 脂肪利用率の向上
  3. 筋収縮の向上

これだけではよくわからないので、1つ1つどのような作用があるか見ていきましょう。

カフェインとアデノシン受容体の関係

アデノシンは、痛みの感覚を強めたり・眠気を強めたり・興奮を抑える、という作用があるとわかっています。

そんなアデノシンをブロックすることで、上記の作用を止めることができるのです。つまり、カフェインは痛みを弱め・眠気を飛ばし・興奮させる、ということです。

カフェインによる覚醒効果は、アデノシンの作用を抑えることで発生しているということになります。

カフェインと脂肪利用率の関係

続いて、カフェインと代謝についてです。

カフェインは、脂肪のエネルギー利用効率を高め、グリコーゲンの消費を減らす作用を持っています。

これにより運動中、グリコーゲンを長い間持てるため、有酸素運動のパフォーマンスを向上できると考えられています。

※グリコーゲンは炭水化物を食べることで貯蓄される筋肉のエネルギーです。マラソン選手などスポーツ選手が試合前に炭水化物を大量に食べるのは、このエネルギーを蓄えるためです。

カフェインと筋収縮(筋力)の関係

上記のアデノシンをブロックする作用により、筋力の向上も期待できると考えられています。

しかしながら、それだけでなく筋収縮のメカニズムにも直接働きかけ、筋収縮を強める働きがありえるそうです。

ナトリウム/カリウムポンプという細胞での働きを向上することで、筋収縮にもポジティブな影響を与えるとのこと。

そのほかにも、カルシウム動員を高めることによって筋収縮が強まる可能性があるとも言われています。

カフェインと筋トレに関する研究と結果

上記のように、カフェインは様々な側面から身体に働きかけ、その効果を発揮します。

実際にトレーニングや気分、筋力にはどのような結果が出ているのか、研究をみていきましょう。

カフェインと筋力やレップ数に関する研究 *(2)

  • 体重1kgあたり5mgのカフェインを摂取
  • ベンチプレスを1RMの60%で限界まで実施
  • レップ数と合計挙上重量が著しく向上
  • 疲労度もカフェイン摂取組の方が低い

上記の研究では、レップ数や挙上重量、疲労度など全ての項目においてカフェイン摂取グループの方が良い結果が出ています。以下が具体的な数値の違いです。*(PL:プラシーボ)

指標カフェインPL
レップ数22.4回20.4回
挙上重量1,147kg1,039kg

合計挙上重量が100kg近く高いです。筋肥大は合計挙上重量=ボリュームによって決まるということがわかってきているため、カフェインを摂った方が筋肥大に効果的だと思われます。

※あくまで、1セッション単位で考えればです。後述しますが、睡眠などの要素を含めるとそこまで単純ではない可能性があります。

カフェインと筋力に関するメタアナリシス *(3)

  • 1RMや*パワーとカフェインの関連性を調べた研究を10個参照
  • 上半身の筋力が向上することが明らかになった
  • 一方で、下半身の筋力に関しては統計的に有意な結果ではなかった
  • パワーもカフェインにより向上するとわかった
    *パワーは垂直跳びで計測

このメタアナリシスでは、カフェインと最大筋力やパワーについての関連性を明確にすべく、10個の研究結果をベースに分析しています。

その結果、カフェインの摂取によりパワーと上半身の筋力が統計的に有意な数値で向上するということがわかりました。

なお、このメタアナリシス対象の研究では、カフェイン摂取量は体重1kgあたり0.9mg〜7mgと大きな幅がありました。

その上で、「筋力やパワーの向上を目的としたカフェインの摂取量に関してはさらなる研究が必要」と結論付けられています。

カフェインと気分や興奮に関する研究 *(4)

  • 0、50、150、450mgのカフェインを摂取
  • 50mgのカフェインの摂取でも興奮剤のような効果
  • また、疲労感の減少も確認できた
  • しかしながら、興奮効果はカフェインへの耐性ができると薄れた

カフェインによる興奮≒覚醒は残念ながら、カフェインに慣れていくとなくなるそうです。まあ毎日コーヒーを飲んでる人は毎回覚醒なんてしないですよね。

しかしながら、疲労感をなくす効果に関しては、カフェインの耐性が関係ないとのこと。そのためちょっとの疲れを飛ばすことは、いつでも期待できます。

本当にカフェインで覚醒する感覚を得たい人は、日頃のカフェイン摂取を控えた方がいいかもしれません。

カフェインの研究結果まとめ

上記の結果を簡単にまとめると、カフェインの摂取で以下のような効果が期待できそうです。

  • 筋トレでレップ数の向上
  • 筋トレで筋力とパワーの向上
  • 疲労感をなくす
  • 興奮(覚醒)効果を得る

メリットだらけですね。あとは使い方になってくると思います。

どのようなタイミングや摂取量でカフェインを摂取すれば、トレーニングの効果を最大化できるか確認していきましょう。

筋トレ時のカフェイン摂取タイミングと摂取量

カフェインの推奨摂取量と摂取タイミングは以下のようになります。

  • 摂取量:体重1kgあたり3mg〜6mg
  • 摂取タイミング:トレーニングの30〜45分前

引用元:7 ENDURANCE NUTRITION RECOMMENDATIONS by Alex Harrison

摂取量に関して、カフェインの摂取に慣れていない方は必ず少ない摂取量50mg〜100mgから始めましょう。いきなり多量摂取すると吐き気や不安感の可能性があります。

筋力を最大限に向上させたい方は、体重1kgあたり5mg前後の摂取をオススメします。体重80kgで400mgの計算なので中々多い摂取量です。※コーヒー一杯で約100mg程度。

何分前に摂ればいいのかというと、トレーニングの30〜45分前になります。このタイミングで最大血中濃度に達するためです。

それより前に飲んでもいいですが、トレーニング前に覚醒し始めても意味がないので、上手く調整しましょう。

カフェインの副作用

カフェインを取りすぎて起こる副作用は、以下のようなものが挙げられます。カフェインに慣れていない場合は少量の摂取でも起こり得ます。

  • 不安感
  • 吐き気
  • めまい
  • 不眠

一度学生自体にレポートを一晩で終わらせるために、700mg近くのカフェインを摂取しました。「全然寝れなくて気持ち悪い」という最悪な一晩を過ごすことになりました。次の日はまるで2日酔いのような感覚です。

カフェインの半減期について

カフェインの半減期は、5時間程度です。つまり、12;00に500mg摂取すると17:00にはまだ250mgが残っていることになります。

先ほどの例で行くと、10時間経っても175mgのカフェインが体内に残っていることになります。これはコーヒー1〜2杯分です。

トレーニングで摂取する際も、必ず半減期を考慮しなければいけません。なぜなら、睡眠のメリット>>>カフェインのメリットだからです。

睡眠の利点を上回るサプリメントなど存在しません。何があっても睡眠は死守しなければいけないため、カフェイン摂取により睡眠時間が減ったり睡眠の質が落ちるようなことは避けましょう。

そのため、200mg以上のカフェイン摂取はお昼過ぎくらいまでで留めるべきだと思います。仕事終わりにプレワークアウトを飲むのはトータルで考えるとかなり損しています。

カフェインとクレアチン

「カフェインとクレアチンを一緒に摂ると、クレアチンの効果が落ちる」と聞いたことはありませんか?

これはクレアチン単体とクレアチン+カフェインの効果を比較した1996年の実験で、上記の通りカフェインを摂取するとクレアチンの効果が消えてしまった結果が出たからです。*(5)

しかしながら、2017年の研究では、クレアチン+カフェインの方が効果が出ている結果となっています。*(6)

そのため、クレアチンとカフェインの同時摂取に関しては深く考えなくていいと思います。自分の摂りやすいタイミングで摂取しましょう。

筋トレ時にオススメのカフェイン

以上の結果を基に、オススメのカフェインを紹介したいと思います。

正直なところ、カフェイン単体だけではコスパしか比較するものがほぼないです。自分のよく使うサイトでついで買いとかでいいと思います。

プレワークアウトなど混合サプリメントからカフェインを摂りたい人は、200mg〜400mg入っていることを確認しましょう。

ALLMAXのカフェイン

一番のオススメは、ALLMAXのカフェインです。

1錠にカフェイン200mgが含まれており、どんな時でも2錠飲めば大体足ります。

しかもそれが100錠で650円(2019年9月@iHerb)と1回あたり6.5円なので非常にお得です。

カフェインのためにコーヒーやエナジードリンクを飲むのがあほらしくなってしまいますね。大体自分はこれを買ってます。

GATのカフェイン

続いてオススメは、GATのカフェインです。

1錠200mg、100錠入りで770円(2019年9月@iHerb)とほぼ上記と変わらないのですが、75mgカルシウムが含まれています。

前述した通り、カルシウム動員を高めることでの筋収縮向上も可能性としては示唆されています。

そのため、このカルシウムでもしかしたら若干の違いが生まれるのではないか?と個人的に思っています。

筋トレとカフェインの効果:まとめ

長くなってしまいましたので、超簡単に今までの内容をまとめたいと思います。

  • 疲労を飛ばす・覚醒・脂肪利用効率の向上・筋収縮の向上というメリット
  • トレーニングでは、レップ数や筋力、パワーが向上する
  • 覚醒効果はカフェインに慣れていない場合のみ
  • 筋トレ時の摂取タイミングは、トレーニング30〜45分前
  • 筋トレ時の摂取量は、体重1kgあたり3mg〜6mg

カフェインは、非常にエビデンスもしっかりしていて上手く使えばトレーニング効果を伸ばすことができます。

しかしながら、前述したように、カフェインによる睡眠不足は一番避けたいです。トレーニング目的の場合、必ず睡眠の時間と質を確保できる前提の上で、カフェインを摂取するようにしましょう。

個人的には、普段は一切取らずに「本当に疲れているとき」や「1RMのテストをするとき」だけカフェインを摂るようにしています。

そうすることで覚醒効果も得られますし、普段睡眠のことを考える必要もありません。参考になれば嬉しいです。

読んでいただきありがとうございました!

参考文献

  1. Caffeine and anaerobic performance: ergogenic value and mechanisms of action
  2. The effect of caffeine ingestion on mood state and bench press performance to failure.
  3. Effects of caffeine intake on muscle strength and power: a systematic review and meta-analysis
  4. Subjective, behavioral, and physiological effects of acute caffeine in light, nondependent caffeine users.
  5. Caffeine counteracts the ergogenic action of muscle creatine loading.
  6. Caffeine Potentiates the Ergogenic Effects of Creatine

筋トレ研究所管理人

筋トレ研究所管理人

トレーニング、特にビッグ3が好きなパワーリフティング愛好家。マックスは、ベンチプレス135kg、スクワット215kg、デッドリフト255kg。筋肥大と筋力の最大化を目指して日々精進中。

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