序論
人生には様々な選択肢があります。
アルコールを摂取したくて筋肉も大きくしたいけど、アルコールは筋肉成長に悪影響を与えてしまう。
そんな状況でアルコールを摂取する意味があるのか考えるために、アルコールの悪影響を知る必要があるでしょう。
私たちがそれを調べたので、本記事にその回答を記載します。
世の中の良いストーリーと同様に、最初から話をします。
そして生命そのものと同様に、アルコールと筋肥大のストーリーは男性の睾丸から始まります。
アルコールと睾丸:ラブストーリーではないです
テストステロンは筋肉の成長に良いです。筋細胞が成長するように直接的に働きかけます。[2, 3]
残念ながら、男性の場合はアルコールはテストステロンに良くありません。
そうです、金玉です。
長期的に見ると、アルコールの毒によって睾丸が縮小する可能性もあり、そうなるとテストステロン産生量が減少します。
また、慢性的なアルコール過剰摂取は睾丸がテストステロンを産生するための脳からのシグナルを弱める可能性もあります。[2]
さらに、アルコールは肝臓でのテストステロンからエストロゲンへの変換率を高め[2]、血中のテストステロンを減少させます。
それとは反対に、軽い飲酒(1-3杯程度)であればその後数時間はテストステロンが高まります。[2](訳注:1杯はアメリカ合衆国基準での1杯となります。アルコール量が14g程度で、5%のビール350mlに値します。)
これを読んでトレーニング後のプロテインにウィスキーを混ぜ始める前に、4-8杯といった多量の場合はテストステロンが18-40%低下することをお伝えしておきましょう。[2, 3]
このような飲み会の後でも、通常1日以内にテストステロン量は元に戻ります。[2, 3]
仲の良い友人たちと飲んだくれたとしたら、ダメージはもっとひどくなります。
テストステロンがこれ程低下するのは、男性のナチュラルボディビルダーがコンテスト前に減量している際に近いです。下記図をご覧ください。
この減量によるホルモンへの影響は、慢性的な毎日の飲酒による影響と同程度です。
研究のサマリーは以下の通りです。
1日2-3杯以下は、テストステロン量が10%低下とホルモンに対する影響は小さいです。
1日10杯以上となると、テストステロン量は25-55%と大幅に減少しますが、この移転では筋肉の成長よりも深刻な問題を抱えているでしょう。
ちなみに、仕事終わりに飲むのが好きな方に忠告です。飲む前に有酸素運動を行うと、テストステロンへの悪影響が長続きしてしまうかもしれません。
アルコールとアナボリックシグナル:これもラブストーリーではないです
テストステロンの現象は当然望ましくないですが、筋肉成長にどのように影響するのでしょうか。
アルコールによりテストステロン量が減少するため、アルコールがmTORキナーゼの活動を低下させるのは驚くべきことではないでしょう。
mTORキナーゼは、筋肉の成長シグナルを統合する重要な酵素です。[2, 3]
同様に、アルコール摂取後に筋肉の成長そのものが低下するのも驚くべきことではないはずです。
具体的な例だと、トレーニング後に9杯分のアルコールを摂取すると筋原繊維タンパク質合成(MPS)が24%低下します。
筋原繊維タンパク質合成が24%低下するのは、どれくらい悪いことなのでしょうか。
参考例をあげると、メンテナンスカロリーから40%減少させ、体重1kgあたりのタンパク質摂取量を0.1g減らした食事にすると、筋原繊維タンパク質合成が36%減少すると示されています。
そのため、夜遊びして酔っぱらうと、筋肉の成長にとっては減量した時と同じような影響があります。
アルコールのテストステロン・mTOR・MPSへの影響は、トレーニング後の回復の影響とも同じです。
4杯程度の飲酒の場合は、筋力の回復には影響しませんでしたが、テストステロンは減少しています。
トレーニング後に6杯アルコールを摂取した場合は、オレンジジュースを摂取した場合と比較して、筋力が11-19%低下しています。
全体として、回復に対するアルコールの急性的な影響は驚くほど軽度ですが、タンパク質合成やホルモン産生の低下による長期的な影響はもっとひどいでしょう。
金玉がない?それなら問題ありません!
一般的に、アルコールは男性にも女性にも同程度悪いものだと考えられています。
しかしながら、男性におけるアルコールのホルモンに関する悪影響は全て、アルコールが精巣に有毒なことに起因しています。
女性には精巣がありません。(引用文献が必要でしょうか?)
なぜアルコールは女性のホルモンに悪いのでしょうか。
悪くないです。
事実、複数の研究によって女性の場合はアルコールを摂取するとテストステロンが向上し[2, 3]、アルコール摂取量はテストステロン量と相関が見られています。
また、アルコールはエストロゲン量にも好影響です。
一般的な考えとは反対に、エストロゲンは特に女性において、筋肉成長に関してメリットしかありません。
軽度な飲酒はあまり影響がありませんが、4-7杯の飲酒はエストロゲンを最大66%増やします。[2, 3, 4, 5]
これらの性ホルモン量向上は筋肉には良いことかもしれませんが、ホルモン代謝に乱れを引き起こす肝毒性と関連しています。
そのため、健康という視点では好影響ではないでしょう。
長期的には、女性において週最低5杯の飲酒は、高いエストロゲン量と相関が見られています。[2, 3]
他の研究では、1日2-3杯の飲酒とポジティブな相関が見られるのはエストロゲンではなくテストステロンだと示しています。
次の図が、アルコール摂取量とエストロゲン量の相関関係に関する研究のサマリーです。
女性においてはアルコールはテストステロンとエストロゲン量に好影響ですが、それでもアルコールによって筋肉成長のためのmTORシグナルが低下するのでしょうか。
低下しません。
下記の図から分かるように、トレーニング直後にウォッカを数ショット摂取した場合、男性はmTORの活動が大きく低下しますが、女性は低下しません。
女性でも、タンパク質翻訳効率のようなmTORの下流に対する悪影響によって筋タンパク質合成が妨げられている可能性があります。
また、トレーニング後の回復に対するアルコールの悪影響に関しても、女性は先天的に影響を受けないようです。
男性とは反対に、トレーニング後に6杯以下のアルコール摂取をした場合でも、女性においては筋肉の回復に影響がないようです。
結論
男性においては、アルコールが睾丸に有害なため、アルコールによってテストステロン産生が低下します。
それにより、アナボリックシグナルや筋タンパク質合成、筋回復の低下に繋がります。
どれくらいのダメージかは、アルコール摂取量に依存します。
ワインを1杯摂取した程度では、実質一切ダメージはありません。
1日に2-3杯以下であればダメージは小さく、些細なものでしょう。
夜にパーティーして酔っぱらう場合は、コンテスト前に減量するのと同じように筋肉成長に悪影響が及びます。
お酒で完全にイって、知らない人の家に辿り着き、次の日に自分がYoutubeに出ているこの人なのか聞かれ、頭痛薬を4錠飲んでも昨日のビートを頭蓋骨に感じるためにミュートでそのビデオを見る、そんな日は筋肉という観点でもイっています。
そんな場合でも、週の残りは筋肉を大きく強くできるでしょう。
女性においては、睾丸がないおかげで、アルコールの悪影響が免除されるように思われます。
テストステロンとエストロゲン量は増加し、アナボリックシグナルが低下することもないように見られ、トレーニング後に大量に飲酒しても筋肉の回復には影響がないようです。
アルコールがタンパク質翻訳効率に悪影響を及ぼすために、暴飲した後には急性的な筋タンパク質合成の低下が見られるかもしれませんが、ある程度の量であれば長期的に見ても筋肉の成長には問題ないようです。
アルコールの減量への影響や夜遊びの影響を最小限にするためには、ぜひ暴飲への科学的ガイドを読んでみてください。
乾杯!