日本でもパワーリフティング界隈を中心にRPEという考え方が浸透してきています。ツイッターやインスタでも「スクワット 200kg 5レップ @ 8」みたいな表現を目にしますね。
しかしながら、RPEはパワーリフティングだけでなくボディビル、もしくは一般トレーニーでも利用できる手法です。
本記事では、RPEとは何か、またどのように利用できるのか解説していきます。
RPEとは?
RPEとはRate of Perceived Exertionの略で、日本語にすると主観的運動強度 を意味します。
主観的という名の通り、セットがどれくらい難しかったのか自分で評価する指標です。
RPEは一般的に以下のように評価できます。※9.5や5以下あたりは人によって解釈が変わります。
RPE | セットに対する感覚 |
---|---|
10 | 最大強度 重量もレップもこれ以上増やせない。 |
9.5 | レップ数は増やせないが重量は増やせたかもしれない。 |
9 | もう1レップできたと思う。 |
8.5 | もう1レップは確実で、2レップできたかもしれない。 |
8 | もう2レップはできたと思う。 |
7.5 | もう2レップは確実で、3レップできたかもしれない。 |
7 | もう3レップはできたと思う。 |
5〜6 | もう4〜6レップはできたと思う。 |
1〜4 | 非常に軽く、ウォームアップレベル。 |
RIRという類似の考え方
RPEと似ている用語として、RIRが存在します。
RIRはReps In Reserveの略で、あと何レップできたか?という指標になります。
0.5刻みではなく1刻みになるため若干の違いはありますが、ほとんどRPEと同義で使われていると考えて問題ないでしょう。
RPEの正しい使い方
RPEの基礎を学んだところで、利用方法に移っていきましょう。
RPEは主に以下の2種類の利用方法やメリットが存在していると考えられます。
- オートレギュレーション
- 漸進性過負荷
それでは1つ1つ解説していきます。
オートレギュレーションに使う
RPEをベースにしたトレーニングの最大のメリットは、重量を自動調整(オートレギュレーション)できる点です。
日によって調子の良い時、調子の悪い時は当然あります。そんな中で、「この日はスクワット200kg 5レップ」と事前に決めて無理矢理やっても、潰れてしまう、下手したら怪我に繋がる可能性もあります。
RPEベースにすることで、調子の悪い日は重量を抑えて、調子の良い日は重量を増やしてセットをこなすことができます。(レップ数も同様)
先ほどの例だと、「200kg」と決めるのではなくて「スクワット 5レップ RPE 8」のように設定します。 上手くいけば210kgかもしれませんし、調子が出なければ190kgに抑えられます。
このように身体の調子に合わせて柔軟に重量を調整できます。そのため、オンラインコーチングの普及に伴いRPEベースのトレーニングが増えてきたようにも思います(目の前で調子が確認できないため、固定の重量だとリスクが大きい)。
オートレギュレーションの注意点
RPEベース全般に言えることですが、重量とRPEの判断が非常に難しいです。
RPE8のつもりでやっていても、実はRPE5だったなんてこともあり得ます。この場合は負荷が弱くなるため、当然ながらトレーニングプログラムの結果が出にくくなってしまいます。
※あるベンチプレスを利用した実験で、被験者が10RMと思う重要をやらせたら、実際は平均16レップもあげたなんてデータもあります。*(1)
反対に、RPE8のつもりが本当はRPE10かもしれません。これでは身体の回復が追いつかずにオーバートレーニングや怪我のリスクが高まります。
上記の理由から、初心者(トレーニング経験半年以内)にはあまりオススメできる手法ではありません。
また、経験者であっても、4〜8週間に最低1回程度はRPE10のセットを意図的に行い、自分の感覚とズレがないのか確認するべきです。
漸進性過負荷のために使う
RPEを利用する次の方法は、漸進性過負荷をかける手段とすることです。
漸進性過負荷と聞くと、重量を毎回増やすイメージが一般的かと思います。しかしながら、重量でなくレップ数でもセット数でもRPEでも負荷が高くなればいいのです。
RPEを使うことで、簡単に漸進性過負荷の調整が可能です。
例えば5週間のサイクルで、最初の週はRPE7、次はRPE8、9、10、そしてディロードという風に組むことができます。
この場合、RPEに対して重量を組み合わせても(100kg@7)、レップ数を組み合わせても(8レップ@7)でも大丈夫です。前者の場合は3レップ余力を残して終わり、後者は3レップ余力を残して8レップできる重量という組み方です。
RPEによって弱い負荷から強い負荷へと毎週段々あげられるので、リズムを崩すことなくスムーズにサイクルを進められます。最初から負荷をあげすぎたり、最終週の負荷が弱すぎることを避けられます。
トレーニングサイクルの組み方
サイクルの組み方に関しては、筋トレのサイクルの組み方を解説します【参考例あり】で別途解説しているのでぜひ読んでみてください。
RPEの注意点や間違った使い方
非常に便利そうなRPEですが前述した通り、主観的なため正しい判断が難しいという点もあります。
RPEを使用する際に一番やってはいけないことが、RPEを実際よりも低く見積もることです。
実際はRPE10なのに、「ベンチプレス 140kg @8」と投稿して自己満足していてはダメです。
当然ながら主観的な判断のため周りは何も言えませんが、いかに実力とRPEの誤差を減らせるか、ということがRPEでは非常に重要だと感じます。
「自分に素直に、かつ高重量にビビらない」という難しいやり方が必要にはなりますが、時間をかけて精度を高めていきましょう。
RPEトレーニングについて:まとめ
以上がRPEに関しての基礎的な情報になります。
個人的には、週毎のRPEを大体で設定して、必要以上に負荷をかけないように設定しています。
1レップを含めたトップセットをRPEにするのもよし、バックダウンセットをRPEにするのもよし、自分のようにマイクロサイクルをRPEにするのもよしです。
様々な使い方があり、上手く使えば大きなメリットになります。RPEでさらに効果的なトレーニングメニューを作りましょう。
読んでいただきありがとうございました!
参考文献