本記事は、「筋トレを始めたけど、なぜか大きくならない」といった初級者から、「ここ最近ベンチプレスが停滞してきた」という上級者まで、誰もが悩みを解決できるガイドです。
筋肥大するには何が必要か、1から知識を整理して、筋肥大の停滞から抜け出しましょう。
1. 筋肥大のメカニズム=漸進性過負荷
漸進性過負荷とは?
初級者から、といっておきながらいきなり「漸進性過負荷」なんて言葉を使ってしまってすいません(笑)
「漸進性過負荷」とは・・・単純に、前回よりも負荷をかけていくということです。
先週ベンチプレス50㎏を3セット10レップやったとしたら、それを52.5㎏でやれば、「漸進性過負荷」を達成したことになります。
初心者が陥りやすいミス
初心者で結果が出ない場合は、ほとんど間違いなく漸進性過負荷をかけたトレーニングができていません。
毎回ジムに行くたびに同じマシーンの同じ重量で、同じ回数をやっているだけでは、身体に対して、進化しろ!という命令が走らないのです。
じゃあどうすればいいのか?答えはもう明確でしょう。毎回少しでも重い重量、もしくは1レップでも増やせばいいのです。上級者にとっては簡単ではありませんが、トレーニング初心者であれば、必ずできるはずです。
少しきつく感じるかもしれませんが、結果は必ず着いてきます!
上級者はどうやって漸進性過負荷をかければいいのか?
おそらく上級者の皆さんは同じことを考えているでしょう。
「そんなことわかってるけど、もう伸びないんだよ...」と。
上級者の場合は、中々重量が伸びてこないので、意図的に負荷をかけていく必要があります。「6.目的別のブロックに分けよう」にて詳細は後述します。
2. 筋肥大のセット数=ボリュームを管理する
ボリュームとは?
ボリュームとは、正確には重量 x レップ数 x セット数の数値のことです。
結果を出していくためには、この数値を徐々に徐々に伸ばしていく必要があります。
つまり、漸進性過負荷を達成するために管理する数字ということです。
重量・レップ数・セットのどれを増やすべきか?
あなたが初心者の場合、まずは重量をあげることを意識していきましょう。
前述したとおり、初心者の場合は必ず重量が伸ばせるボーナス期のようなものです。同じくレップ数を伸ばすのも効果的ですが、今後の土台を作り上げていくためにも、最初はどんどん重くしていきましょう!
あなたが中級者の場合、重量・レップ数の両方を意識していく必要があります。
例えば、ベンチプレス80kgで8レップできるようになるまでやり続け、達成したら82.5kgに移行するという考え方です。
重量を追いすぎると中々成長が大変に感じる時期です。うまくレップ数を考慮しながら、効率よく負荷を増やしていきましょう。
あなたが上級者の場合、重量・レップ数・セット数全てを組み合わせていかなければいけません。
具体的には、以下のようなイメージです。
- 1週目:ベンチプレス100㎏ x 3セット x 8レップ
- 2週目:ベンチプレス102.5㎏ x 4セット x 8レップ
- 3週目:ベンチプレス105㎏ x 5セット x 8レップ
- 4週目:ベンチプレス107.5㎏ x 5セット x 8レップ
- 5週目:ディロード *軽めの週
- 6週目:ベンチプレス 102.5kg x 3セット x 8レップ
- 以降、繰り返し...
この例では、115kgあたりで8レップがマックスの想定です。
1週間単位ではなく、4〜8週間のブロック単位で負荷をあげていくことが、上級者のトレーニング方法です。次のブロックで、重量を2.5kgあげたり、1レップ増やしたりすることで、漸進性過負荷をかけます。
セット数についての記事
1日・1週間の最適なセット数について研究結果を基にまとめています。メニュー作りに困っている方は読んでみてください
3. コンパウンド種目の優先度を高めよう
コンパウンド種目とは?
コンパウンド種目は、複数の関節を同時に動かす種目です。
ベンチプレスやスクワット、懸垂、デッドリフトなどが該当します。
反対に、バーベルカールやサイドレイズのようなピンポイントの筋肉を狙った種目はアイソレーション種目と言います。
なぜコンパウンド種目を優先するべきか
コンパウンド種目を優先するべき理由は、ずばり2つです。
- 漸進性過負荷をかけやすい。
- 効率よく多くの筋肉を鍛えられる。
コンパウンド種目は、多くの筋群を同時に動かすため、必然的に重量自体が重くなります。また、当然ながらそれらの筋肉が鍛えられるので、アイソレーション種目と違って停滞しずらくなります。
そのため、筋肥大のためには優先的に取り組むべき種目なのです。
具体的にどんな種目をやればいいのか?
部位別に、以下の種目を優先的に取り組んでみてください。いくつか候補をあげたので、どこかに痛みが出る場合は違う種目を試してみましょう。
- 胸:ベンチプレス、ダンベルベンチ、ディップスなど
- 背中:懸垂(加重)、ラットプルダウン、ケーブルロウなど
- 肩:ショルダープレス、ダンベルショルダープレスなど
- 脚(四頭筋):スクワット、レッグプラス、ランジなど
- 脚(ハムストリング):デッドリフト、ルーマニアンデッドリフトなど
これらの種目どれかを1日の中のメイン種目として考えましょう。
疲労度も高くなるので、1週間の中でバランスをとることも重要です。
4. 筋肥大のための分割を考えよう
キーは、ボリュームから逆算すること
分割でよくありがちなのが、最初から胸・背中・脚の日、のようにやる部位を決めた後に、種目を入れていくやり方です。
トレーニング歴の長い人であれば直感的にボリュームを調整できるかもしれませんが、実際はなかなか難しいです。そのため、私はボリュームから逆算していくことをオススメします。
初心者・中級者のうちは、複雑に考えなくても大丈夫です。この時期はほとんどの場合、ボリューム=扱う重量だからです。以下のステップで分割を作りましょう。
- 伸ばしたいコンパウンド種目を決める。
- 1週間のうちトレーニングできる日数を決める。
- 同じ部位を連続でやりすぎないように(最低1日は空ける)、コンパウンド種目を各曜日に分ける。
- コンパウンド種目と同じ部位のアイソレーション種目を同じ日に追加する。
※あえて違う日にアイソレーション種目を入れてもオッケーです。
上級者の場合は、上記のやり方に加えて、毎週セット数や重量をあげられるような工夫を考える必要があります。
- 直近のトレーニングブロックから、部位毎に1週間で行っていたセット数を計算する。
- コンパウンド種目とアイソレーション種目を決める。
- 1週間のうちトレーニングできる日数を決める。
- セット数に基づいて、コンパウンド種目とアイソレーション種目を分ける。
コンパウンド種目が7割、アイソレーション種目が3割を目安にしましょう。
また、同じ部位のコンパウンド種目が連日で入らないようにします。
このように分割を作る際に、同じ部位を最低週2回できるようにすると効率が良いです。1回のセッションで種目が多すぎないので集中できますし、より多く筋合成を刺激することが出来ます。
パワーリフターなど極端な場合は週4〜7などで練習する場合もありますが、筋肥大ではなく最大筋力的なプログラムになっていきます。
初心者向け筋肥大メニュー
中々文章を読んだだけではイメージが難しいと思うので、初心者向けのプログラムを書いてみました。
対象者の目安は筋トレ経験ゼロ〜6か月間くらいの方です。あくまで参考として、カスタマイズしていってください!
- 月曜日
- ベンチプレス 3セット x 6〜10レップ
- 懸垂orラットプルダウン 3セット x 6〜10レップ
- レッグプレス 3セット x 10レップ
- 腕(二頭筋と三頭筋で1種目ずつ)3セット x 10〜15レップ
- 水曜日
- スクワット 3セット x 6〜10レップ
- ショルダープレス 3セット 6〜10レップ
- ケーブルロウ 3セット 10レップ
- サイドレイズ 3セット x 10〜15レップ
- 金曜日
- 懸垂orラットプルダウン 3セット x 6〜10レップ
- ベンチプレス 3セット x 6〜10レップ
- レッグプレス 3セット x 10レップ
- 腕(二頭筋と三頭筋で1種目ずつ)3セット x 10〜15レップ
1日で全身を鍛える作りにしてあるので、かなりつらいとは思います...(笑)ただ結果は約束できます!
同じ種目を繰り返しやることで効率的に動作を覚えられ、重量が伸ばしやすいです。どうしても飽き性な方は、ベンチプレスをダンベルにしてたり、ラットプルダウンのグリップを変えてみたり、楽しんでみてください。
筋トレは何よりも継続性です。
中級者向け筋肥大メニュー
中級者向けはこちらになります。目安としては筋トレを6か月〜1年ほど継続してきた方になります。
- 月曜日
- ベンチプレス 3セット x 4〜6レップ
- ラットプルダウン 3セット x 8〜12レップ
- インクラインダンベルベンチ 3セット x 8〜12レップ
- ケーブルロウ 3セット x 8〜12レップ
- サイドレイズ 3セット x 10〜15レップ
- 火曜日
- スクワット 3セット x 4〜6レップ
- ルーマニアンデッドリフト 3セット x 8〜12レップ
- ランジ 3セット x 8〜12レップ
- レッグカール 3セット x 10〜15レップ
- 腕(二頭筋と三頭筋で1種目ずつ)3セット x 10〜15レップ
- 木曜日
- 懸垂 3セット x 6〜8レップ
- インクラインベンチプレス 3セット x 8〜12レップ
- ダンベルロウ 3セット x 8〜12レップ
- ダンベルベンチ 3セット x 8〜12レップ
- サイドレイズ 3セット x 10〜15レップ
※火曜日とは違う種目。
- 金曜日
- デッドリフト 3セット x 4〜6レップ
- レッグプレス 3セット x 8〜12レップ
- スプリットスクワット 3セット x 8〜12レップ
- レッグエクステンション 3セット x 10〜15レップ
- 腕(二頭筋と三頭筋で1種目ずつ)3セット x 10〜15レップ
※火曜日とは違う種目。
中級者プログラムでは、上半身と下半身に分け、少しボリュームを増やしています。
また、1種目目はかなり低レップで行うことで、重量が伸ばしやすいプログラムにしています。種目の種類も豊富にしてあるため、飽きずらく、やりやすいと思います!
上級者向け筋肥大メニュー
ごめんなさい、上級者向けはこの場では書けないです...
このレベルでは個人差がかなり大きくなっていたり、経験も多くむしろ自分で考えた方がいいプログラムが書けると思います。
停滞していた方は、漸進性過負荷とボリュームという2点をまずは見直してプログラムを作り直してみましょう。
5. 弱点部位は粘り強くトレーニング
伸びない=ボリュームが足りていない
「胸筋は大きくなるのに、肩が全然大きくならない...」
「腕だけ妙に細く感じる」
こんな悩みを抱えているトレーニーも多いはずです。
こういったいわゆる「弱点部位」は、遺伝子上どうしても発達しずらいです。個人差があり、肩が大きくなりやすい人、胸が大きくなりやすい人、それぞれいます。
この問題を解決するには、素直に「もっとトレーニングする!」で対応していくしかありません。
まるで体育会系な解決方法ですが、効くことも事実です。まだ日本では主流ではありませんが、海外では腕や肩などの細かく大きくなりづらい部位は週4〜7回やるということも流行ってきています。筋肉が小さくて回復が早い部位は、その分たくさんやっても大丈夫だからです。
停滞している部位に合わせて、以下のようにボリュームを増やしてみてください。
- 胸・背中・脚の場合
全体のトレーニングボリュームの中の比率を高める。
今まで胸のトレーニングが全体の30%だとしたら、それを40%〜50%くらいにする期間を設けてみましょう。
※比率を無視して全体のボリュームも急に増やしてしまうと、回復が追い付かない可能性があるので注意です。 - 腕・肩・ふくらはぎ等の場合
比率は気にせず、頻度を増やしてそのままボリュームも増やしましょう。
目安として、次の週に力が落ちていないレベルが上限です。
中々弱点部位はトレーニングも楽しくないかもしれませんが、たまにはパンプを追って楽しんだり、種目を入れ替えたりして楽しんでいきましょう!
6. 目的別のブロックに分けよう
筋肥大と最大筋力に分けてプログラムを作る
このセクションは、中級者~上級者専用です。初心者の方は将来的に気にしなきゃいけないかも、程度なノリで読んでみてください。
「そもそも筋肥大目的なのに、最大筋力向けブロックなんているのか?」と考えている人も少なくないでしょう。もちろんその通りで、あくまで筋肉を大きくしたいという目的がある中で、効果を最大限にするための分け方です。最大筋力が目的の場合は、また違った組み方ともなります。
ブロックを分ける理由は、主に3つあります。
- 身体への負担をブロックによって調整できる。
高重量は関節に、高ボリュームは筋肉に負荷が強くなります。身体をうまく回復させるために、これらへの負荷を分散させていく必要があります。 - ボリュームを稼ぐ時期、重量を伸ばす時期に分けられる。
上記のように身体の負担を考慮してプログラムを作ることで、思いっきり高ボリュームにする時期とひたすら重量更新を目指す時期を設けられます。結果的に、両方のゴールを達成でき、継続して成長することができるようになります。 - ボリュームまたは重量に対しての身体の反応をよくする。
一定期間、重量狙いでボリュームを落とすことで、次に高ボリューム移行したときに身体が反応しやすくなります。これは身体の恒常性(ホメオスタシス)をうまく回避するための手法です。
筋肥大のためにはどのようにブロックを組むか
筋力ではなく筋肥大が目的な場合は、70%ほどを高ボリューム期、30%ほどを低ボリューム(重量を追う)期に分けると効果的です。
以下の例を参考にしてみてください。
- 1ブロック目 ※1ブロック=4〜6週間
高ボリュームブロック:10レップ - 2ブロック目
高ボリュームブロック:8レップ - 3ブロック目
低ボリュームブロック:4〜6レップ セット数は少なくする
7. 筋肥大に必要な食事とカロリー
カロリーとたんぱく質の必要性
ここまでトレーニングのことしか書いてきませんでした。しかし、結果が出ない理由は食事に潜んでいる可能性も大いにあります。
トレーニングをハードに行っていると感じるのに効果が出ていない人は、食事を見直しましょう。
見直すポイントは①カロリーと②たんぱく質です。
カロリーは筋肉を作るのに必須になります。最低でも、体重を維持できるレベルのカロリーを摂取しましょう。
摂取カロリーを計算するために、3日間ほど食事を記録することをオススメします。普段の食事がそれで体重に変化がなければ、そのカロリーが基準値となります。
また、「カロリー計算」などで検索すると計算ツールがたくさん出てきますので、それも参考にしてみるといいです。
しかし、体重維持レベルでは、最適な状況ではありません。よく「筋肉をつけるには太ってから痩せる方が効率的」と言ったりしますが、あながち間違いではないのです。
筋合成を最大限に高めるためには、基準値+200~500カロリーを摂取し、体重が増えていく状況を作り出すことをオススメします。
つまり、筋肥大をするためにはオーバーカロリー=炭水化物を多めに摂取することが重要です。
そして、次に重要な栄養素がたんぱく質量です。筋肥大を最大化させるために、体重1kgあたり2gのたんぱく質量の摂取を目指しましょう。
すでに摂取している人も多いかもしれませんが、ホエイプロテインをうまく活用してください。筋合成に重要なロイシンが多く含まれており、吸収が早いため身体づくりに最適なたんぱく源になります。
簡単にカロリーが計算できます
カロリーとマクロ栄養素(たんぱく質・炭水化物・脂質)をどれくらい摂ればいいかわからない、という方向けに自動計算してくれるページを作りました。良かったら使ってみてください。
まとめ
まとめると、筋肥大が停滞したときに見直す点は以下のようになります。
ここがクリアできていれば、再び調子が上がるはずです!
- 漸進性過負荷をかけられているか確認する。
- ボリュームを記録して、基準を理解する。
- コンパウンド種目に集中する。
- 弱点はボリュームを増やす。
- 筋肥大と筋力狙いのブロックを分ける。
- カロリーとたんぱく質をちゃんと摂取する。
また、筋肥大には時間がかかります。初心者の方は、まず3ヶ月以上の期間トレーニングを継続しましょう。その上で結果が出なければ上記を再確認してみてください。
ご拝読ありがとうございました!
皆さんの筋肉がもっと大きくなってくれることを心の底から祈っています。