ナローデッドリフトの10ステップ:序論
デッドリフトはある意味一番シンプルな種目です。床から物を持ち上げるだけです!
しかしながら一方では、神経系への負荷が最も大きく、個人の身体的構造によってテクニックに最も差が出るため、一番複雑な種目とも言えます。
以下にナローデッドリフトの重要なテクニックを紹介します。
ナローデッドリフトのテクニック10ステップ
ステップ1
身体のタイプ、四肢の比率、強み・弱点によって足幅は異なりますが、垂直跳びをする足幅を基本として考えると良いでしょう。
ステップ2
スネに対するバーの位置も同様に身体のサイズによって個人差がありますが、基本的には靴紐の結び目の上にバーが来るようにすると良いです。(裸足の場合は結び目が本来ある位置)
身体の大きなリフターはより遠くにバーを位置しないといけないかもしれませんが、反対に小さいリフターは近づけないといけないかもしれません。
身体の大きい人の間ではバーを転がしてセットアップするパターンが多く(ベネディクト・マグナソンのように)、腹部が大きい場合、適切なスタートポジションに入るためにそれが必要になるかもしれません。
このようなダイナミックな動きは、テクニックをさらに1つ多く考えなければいけない、もしくはミスする可能性があるということを理解し、リスクとメリットを天秤にかけて判断してください。
ステップ3
グリップの手幅も個人差が多少あります。脚のすぐ外側、デッドリフト中に脚を擦らないくらいの幅で握りましょう。
身体の大きな人の場合、もう少し広い手幅が必要になるかもしれません。その場合はお尻をもう少し低くする必要があり、また手幅が広いことでロックアウト時に胸を張り肩を返しやすくなります。
雑巾を絞るようにバーを握りグリップ力を高めましょう。手にバーが食いこむため、高重量デッドリフトを落とす可能性が低くなります。
ステップ4
デッドリフト挙上開始時のお尻の高さやスネの角度も、四肢の長さや足首の可動域といった個々の特徴に左右されます。
可動域の制限により挙上開始時にスネがそこまで垂直ではないかもしれませんが、できる限り体重を後方に移動させ、肩をバーの真上、もしくは若干後ろに位置させるよう努力するべきです。
上記のようなポジションでは、人によってお尻の位置が異なります。
ステップ5
高重量を引くためには、スタートポジションでテンションを生み出すことが非常に重要です。
脚を外旋させ地面に埋め込む(足を地面にねじ込む)イメージで、ポジションに入るにつれて臀部とハムストリングに力を入れましょう。
首を引き、上腕三頭筋に力を入れ、バーのたわみを取って広背筋を利用します(脇を守るイメージです)。
その後、体幹部に大きく息を吸い込みます(腰に吸い込む意識)。これで挙上準備は完了です。
ステップ6
スクワットの際に肩と背中をバーに押しつけるように、挙上開始時に肩と背中を引き上げます。
後方へジャンプするかのように脚で床を強く押すことに加えて、上記を行うことで、床からの挙上にスピードが生まれます。
ステップ7
バーの軌道がブレないようにしてください。特にバーが膝の高さ辺りの際は重要になります。
広背筋に強く力を入れて、バーを上後方に引くようにしましょう。
また、バーを身体に擦り付けると摩擦を生み出してしまうため好ましくありません。しかしながら、できる限り身体の近くに位置させましょう。
ステップ8
バーが膝を越えてロックアウトに近づくに連れて、多くの人は頭を後ろに振りがちです。
以下2つの理由から、上記動作は避けるべきです。
- ロックアウトまでの距離が長くなる
- ロックアウトの主動筋となる臀部から力が抜ける
ロックアウトの際は、頭をニュートラルに保つ、もしくは顎を引くくらいが良いでしょう。
ステップ9
つま先の位置は挙上開始時の力やロックアウトに関係してきます。
つま先が真っ直ぐの方がロックアウトが強くなります。
つま先を外に向けた方が床からの挙上が力強くなる代わりに、つま先を外に向けると臀部の完全収縮が難しくなるため、ロックアウトが弱まります。
ステップ10
デッドリフトを行う際に非常にアグレッシブになる人が多く、もちろんそれにより筋力は高まります。
しかしながら、身体にテンションを生み出して力強くありながらも、身体を真っ直ぐにし挙上速度を速められるように、激しさをコントロールできるようにしなければいけません。
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが言うように、「爆弾のように穏やか」です。(Calm Like a Bomb)
最後に
もちろんこれ以上にデッドリフトにおける小さな要素は多くあり、あなた自身の身体や強みを学び、それにあったテクニックを発達させなければいけませんが、これらの10ステップは良いスタートになるでしょう。