上腕二頭筋トレーニングのコツ
本記事では、上腕二頭筋トレーニングのコツをいくつか紹介します。
私のトレーニングやコーチングの経験をベースにしている一般論ということに注意してください。
あくまで考えのベースであるべきで、ここに記載されている内容に全て従えばいいというわけではありません。
もしまだ読んでいなければ、※筋肥大のためのトレーニングボリュームの目印を読んでみてください。
本記事で紹介していることの理論的、そして実用的なベースが理解できます。
この記事が内容が気に入ったけどもう少しトレーニングメニューに関してRPの専門家の助けが欲しい場合は、大人気のMale PhysiqueやFemale Physiqueテンプレートを見てみてください。
※マイクイズラテルのMEV・MAV・MRVトレーニングボリューム理論にて、彼の理論について本ブログ内に日本語で解説しています。
本記事の対象となる筋肉
本記事で解説する筋群は正確に言えば「前腕を屈折させる筋群」で、上腕二頭筋や上腕筋の他にいくつかの補助筋群になります。
単純にするため、インターネットで検索しやすくするために、記事内ではこれらの筋群を「上腕二頭筋」と書いています。
セット数
MV:筋量維持ボリューム
上腕二頭筋の種目を行ったことがなければ、背中の種目で刺激を入れている限り、上腕二頭筋を行わなくても筋量は維持できます。
上腕二頭筋の種目を行っている人であれば、週に4〜6セットはやるべきだと思われます。
MEV:最小効果的ボリューム
筋肥大を起こすためには、大半の中級者は少なくとも週に8セットやる必要があります。
背中の種目を高ボリュームで行っていれば、それより低いセット数でも上腕二頭筋を大きくできるかもしれません。
MAV:最大適応ボリューム
大体の人は、平均で週に14〜20セットだと反応がいいです。
MRV:最大回復ボリューム
週に26セットを超えると、回復しきれない問題が出てくることが多いです。
特にプル系やローイング系の種目を多く含んでいるメニューだと回復に支障をきたす可能性が高まります。
背中のトレーニングを最小限に抑えている場合は、週に26セット以上の上腕二頭筋トレーニングをできるかもしれません。 しかしながら、背中に注力している場合は、週に20セットでも厳しい場合があり得ます。
必ず自分自身で疲労度を確認し、何が何でもボリュームを増やして大丈夫だと思わないでください。
種目
上腕二頭筋は肩の屈折動作に含まれるだけでなく(なのでチェストフライで筋肉痛にもなります)、ナローグリップのプル系種目でも大きな刺激が入ります。
そのため直接上腕二頭筋を鍛える種目では様々な種類のカールを行います。
上腕二頭筋の種目
- バーベルカール
- EZバーカール
- クロースグリップバーベルカール
- ツーアームダンベルカール
- ケーブルカール
- インクラインダンベルカール
- ダンベルツイストカール
- ハンマーカール
- ダンベルスパイダーカール
- オルタネイトダンベルカール
- ケーブルロープツイストカール
頻度
頻度:週に2〜6回
はい、まじで「6回」と書いています。でもなぜでしょう?SRAの法則に従うと、筋肉は常に刺激されている状態ではなく回復中にしか成長しないのではないでしょうか?もちろんです。
※SRA:Stimulus-Recovery-Adaptationの略。刺激から回復して身体が適応するサイクルのことを示す。
しかしながら、超高頻度の上腕二頭筋トレーニングはSRAの法則を無視している訳ではありません。
上腕二頭筋は機械的ダメージを受けにくく、出力も低く、比較的に小さな筋肉であるため(全ての前腕屈折筋群に当てはまります)、非常に短期間で一定のボリュームから回復することができます。1日で回復できる場合が多いです。
もちろん、「一定の」という部分が重要です。カールを8セット行って次の日も同じように行ってはいけません。
しかし、1日に3セットしか上腕二頭筋をやらないとしたら、そのボリュームに慣れている場合、次の日には回復しきれます。
それを6日間続けてやったら1週間に18セットになり、ほとんどの人のMRVよりも低い数字です。
そのため高頻度で上腕二頭筋を行うとしたら、週単位のボリュームがMRVを下回るように調整すれば、問題なく回復できるでしょう。
強度(重量)
前腕を屈折する筋群はほとんどの場合、速筋と遅筋が半々であるため、理論上は様々なレップ数で上腕二頭筋を鍛えるべきです。
しかしながら、背中の種目で上腕二頭筋は高重量の刺激を受けているため、アイソレーション種目ではどちらかというと高レップよりになるべきでしょう。
上記の理由に加えて、高重量のカール(6レップ以下)は安全ではないため、8〜15レップを基本として、化学的ストレスを狙ったより高いレップ数をたまに入れるのがベストです。
バリエーション
特に高頻度で上腕二頭筋を鍛えるためにも、マイクロサイクル内で以下の3種類の要素を考慮するといいです。
種目のバリエーション
同じ種目を繰り返し続けていると局所的なダメージがたまり慢性的な怪我(肘の痛みや上腕二頭筋腱の炎症が多いです)に繋がる可能性があります。
こうならないための方法として、上腕二頭筋の2〜4種目を1マイクロサイクル内(とメゾサイクル)で行う方法があります。
前述した種目のリストからもわかるように、上腕二頭筋の種目は非常に多いため、バリエーションに困ることもありません。
様々な種目を散らばらせることにより、バランスよく筋肉が発達し、局所的な疲労の蓄積を下げることができます。
重量のバリエーション
種目のバリエーションと同様に、重量のバリエーションも疲労を抑えることができ結果に繋がります。
例えば、上腕二頭筋種目を2セッション連続でやる場合は、1セッション目は8レップで行い、次のセッションは15レップにすることができます。
こうすれば同じ種目を行いながらも、両方のセッションで過負荷をかけることができ、2回目の際にピークの力を下げることで怪我のリスクも最小限に抑えられます。
反対に高レップをやった次に低レップで行うと、最初の(低重量)トレーニングによるマイクロダメージが2回目の高重量トレーニングにより怪我に繋がる可能性があります。
ボリュームと相対的強度のバリエーション
高頻度で上腕二頭筋を鍛える場合、毎回トップレベルの過負荷を与えることができないかもしれません。
特に、出力が落ちている状態でもできる他の種目(ケーブルロープツイストカール)に比べて、一部の種目(バーベルカール)はフレッシュな状態で行った方が最適です。
そのため、負荷の大きい種目に打ち込んで、簡単な種目はボリュームを落とした方がいいかもしれません。
こうすれば高頻度のメリットがありながらも、フレッシュな状態で行いたい種目に集中できるように疲労を調節することができます。
ボリュームを落とすのと同様に、相対的強度を落としてより優先度の高い種目のために回復させることもできます。
バーベルカールと同じくロープカールで限界の1レップ前までやるのではなく、ロープカールでは限界の3レップ手前までにすればバーベルカールは回復した状態で行えるでしょう。
以下が、種目と重量、ボリューム・相対的強度を調整した6日分の参考メニューです。
バーベルカール:4セット 8レップ 限界の1レップ前
バーベルカール:4セット 15レップ 限界の1レップ前
ロープカール:2セット 10レップ 限界の3レップ前
EZバーカール:4セット 8レップ 限界の1レップ前
EZバーカール:4セット 15レップ 限界の1レップ前
ロープカール:2セット 10レップ 限界の3レップ前
可動域
バイセップカールよりもよく可動域を狭くして行われてしまっているのはスクワットくらいです。
可動域の狭いカールをすると、ジムの色んな人から注目を浴びて王様に慣れます。
反対に、怪我の可能性を最小限の留めながらも腕を大きくしたい場合は、一番下から一番上までカールしてください。
動作の最後に肩の屈折を行う必要はあるでしょうか?行ってもいいですが、必須ではないです。(上腕二頭筋は肩の屈折筋でもあります。)
しかし、仮に一番下から一番上まで可動域を取ってない場合は、最大可動域による筋肥大の可能性を失っているでしょう。
化学的ストレスを用いたテクニック
上腕二頭筋は化学的ストレステクニックが使える最有力候補であることは間違い無いです。
スーパーセットやドロップセット、ジャイアントセット、そして胸などの部位ではできない加圧トレーニングが上腕二頭筋では実施できます。
上腕二頭筋の加圧トレーニングでは、三角筋のちょうど下にラップを巻いて行います。ジャイアントセットと加圧トレーニングの組み合わせもかなり効果的です。以下がその例です。
- カールで30RMの重量のダンベルを用意する。
- 加圧ラップまたはバンドを巻く。
- 限界の1レップ前までカールを行う。加圧は外さない。
- 10秒休憩し、繰り返す。
- セット数に関係なく、一定のレップ数を合計で達成したら終了する。最初のマイクロサイクルでは50レップで始め、重量は同じのまま10レップずつ増やしていくのが良いでしょう。
ピリオダイゼーション
他の部位と同様に、最初のメゾサイクルは中重量の中レップで行うべきです。
その次のメゾサイクルでも似たような設定で、レップ数や種目を少し変更してもいいかもしれません。
もしくは、1RMの60%程の軽量で高レップで高ボリューム、化学的ストレスを狙ったブロックにもできます。
そのメゾサイクルの後は、3〜4週間程度の短いメゾサイクルで、1RMの70〜85%程の筋力狙いの低ボリューム期間を設けるべきです。
低ボリュームを入れることで、筋肉の感受性をリセットして今後さらに筋肥大しやすくなります。
この期間が終わったら最初のメゾサイクルに戻って繰り返しましょう。
高頻度で上腕二頭筋を鍛えるとしたら、どこかで低ボリュームのブロックを用意して週2回程度まで頻度を落とし、筋肉や関節組織が次のブロックまでに回復できるようにした方がいいかもしれません。
上腕二頭筋トレーニングの参考メニュー
週に4回、5週間分の参考例です。ポンドからキロに直す際に一部調整しています。
1日目
EZバーカール:3セット 8レップ 37.5kg
2日目
EZバーカール:4セット 12レップ 30kg
3日目
ダンベルカール:3セット 10レップ 12.5kg
4日目
加圧ダンベルカール:合計50レップ 10kg
1日目
EZバーカール:4セット 8レップ 40kg
2日目
EZバーカール:5セット 12レップ 32.5kg
3日目
ダンベルカール:3セット 10レップ 12.5kg
4日目
加圧ダンベルカール:合計60レップ 10kg
1日目
EZバーカール:5セット 8レップ 42.5kg
2日目
EZバーカール:6セット 12レップ 35kg
3日目
ダンベルカール:4セット 10レップ 15kg
4日目
加圧ダンベルカール:合計70レップ 10kg
1日目
EZバーカール:6セット 8レップ 45kg
2日目
EZバーカール:7セット 12レップ 37.5kg
3日目
ダンベルカール:4セット 10レップ 15kg
4日目
加圧ダンベルカール:合計80レップ 10kg
1日目
EZバーカール:2セット 6レップ 37.5kg
2日目
EZバーカール:3セット 6レップ 30kg
3日目
ダンベルカール:2セット 6レップ 7.5kg
4日目
休み
特記
腕を大きくしたいけど胸や背中、肩のトレーニングを最適に行いたい場合は、上腕二頭筋をセッションの最後に行いましょう。
上腕二頭筋が疲労していると、トレーニングの質が落ちてしまいます。特に背中トレーニングでは顕著です。
上腕二頭筋を本当に優先したい場合は、最初にやりましょう。
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