三角筋中部・後部トレーニングのコツ
本記事では、三角筋中部・後部トレーニングのコツをいくつか紹介します。
私のトレーニングやコーチングの経験をベースにしている一般論ということに注意してください。
あくまで考えのベースであるべきで、ここに記載されている内容に全て従えばいいというわけではありません。
もしまだ読んでいなければ、※筋肥大のためのトレーニングボリュームの目印を読んでみてください。
本記事で紹介していることの理論的、そして実用的なベースが理解できます。
この記事が内容が気に入ったけどもう少しトレーニングメニューに関してRPの専門家の助けが欲しい場合は、大人気のMale PhysiqueやFemale Physiqueテンプレートを見てみてください。
※マイクイズラテルのMEV・MAV・MRVトレーニングボリューム理論にて、彼の理論について本ブログ内に日本語で解説しています。
三角筋中部と後部を一緒にしている理由
三角筋中部と後部を同じ記事で解説している理由は、これらの筋肉が多くの同様な種目で動員されていることや、トレーニング推奨方法がほとんど同じだからです。
セット数
MV:筋量維持ボリューム
三角筋後部は直接種目を行わなくても、背中のトレーニングを行っていれば筋量を維持できます。
一方で三角筋中部は週に6セットは行わないと、中級者・上級者レベルの人たちは筋肉を失ってしまうでしょう。
MEV:最小効果的ボリューム
筋肥大を起こすためには、大半の中級者は少なくとも週に8セットやる必要があります。
正確に言うと、中部と後部両方ではなく片方だけ刺激するアイソレーション種目の場合はそれぞれ6セット、両方刺激する種目の場合は合計8セットです。
MAV:最大適応ボリューム
大体の人は、平均で週に16〜22セットだと反応がいいです。
MRV:最大回復ボリューム
週に26セットを超えると、回復しきれない問題が出てくることが多いです。
少数ではありますが、これよりもっと高ボリュームで行っても回復できる人も実際にはいます。
種目
三角筋中部と後部に種目を分けて記載していますが、刺激される部位は重複するということに注意してください。
例えば、バーベルフェイスプルでも三角筋中部は相当刺激されますし、親指を下にしたサイドレイズでも三角筋後部が刺激されます。
三角筋後部の種目
三角筋中部の種目
頻度
頻度:週に2〜6回
上腕二頭筋のように、三角筋中部と後部は構造的に機械的ダメージを受けにくく、出力も低く、比較的に小さな筋肉であるため、非常に短期間で一定のボリュームから回復することができます。1日で回復できることが多いです。
もちろん、「一定の」という部分が重要です。サイドレイズもしくはリアレイズを8セット行った後、次の日回復して同じようにできる訳ではありません。
しかしながら、1日3セットしか三角筋中部や後部をやらないとしたら、そのボリュームに慣れている場合、次の日には回復しきれます。
それを6日間続けてやったら1週間に18セットになり、ほとんどの人のMRVよりも低い数字です。
そのため高頻度で三角筋中部と後部を行うとしたら、週単位のボリュームがMRVを下回るように調整すれば、問題なく回復できるでしょう。
強度(重量)
おそらく筋繊維の種類や安全性が理由で、三角筋中部と後部で高重量トレーニングをするほど効果がなく無駄なものはないと思います。
私としても、他人にアドバイスするとしても、8レップを下回ることは正直まずないです。
10〜12レップから20レップを超えるレップ数で、ほとんどのトレーニングを行うべきです。
より低重量の化学的ストレスを狙ったトレーニングは、肩トレーニングにおいて天の賜物です。
バリエーション
特に高頻度で三角筋中部と後部を鍛えるためにも、マイクロサイクル内で以下の3種類の要素を考慮するといいです。
種目のバリエーション
同じ種目を繰り返し続けていると局所的なダメージがたまり慢性的な怪我(オーバーユースによる肩の痛みは非常に多いです)に繋がる可能性があります。
こうならないための方法として、三角筋の2〜4種目を1マイクロサイクル内(とメゾサイクル)で行う方法があります。
様々な種目を散らばらせることにより、バランスよく筋肉が発達し、局所的な疲労の蓄積を下げることができます。
三角筋中部と後部をどちらも優先している場合、中部の種目と後部の種目を交替して行うのも1つのテクニックです。同じ部位でバリエーションを取り入れる極端な例です。
重量のバリエーション
種目のバリエーションと同様に、重量のバリエーションも疲労を抑えることができ結果に繋がります。
例えば、三角筋種目を2セッション連続でやる場合は、1セッション目は10レップで行い、次のセッションは20セットにすることができます。
こうすれば同じ種目を行いながらも、両方のセッションで過負荷をかけることができ、2回目の際にピークの力を下げることで怪我のリスクも最小限に抑えられます。
反対に高レップをやった次に低レップで行うと、最初の(低重量)トレーニングによるマイクロダメージが2回目の高重量トレーニングにより怪我に繋がる可能性があります。
ボリュームと相対的強度のバリエーション
高頻度で三角筋中部と後部を鍛える場合、毎回トップレベルの過負荷を与えることができないかもしれません。
特に、出力が落ちている状態でもできる他の種目(ダンベルリアレイズ)に比べて、一部の種目(バーベルアップライトロウ)はフレッシュな状態で行った方が最適です。
そのため、負荷の大きい種目に打ち込んで、簡単な種目はボリュームを落とした方がいいかもしれません。
こうすれば高頻度のメリットがありながらも、フレッシュな状態で行いたい種目に集中できるように疲労を調節することができます。
ボリュームを落とすのと同様に、相対的強度を落としてより優先度の高い種目のために回復させることもできます。
バーベルアップライトロウと同じようにリアレイズで限界の1レップ前までやるのではなく、リアレイズでは限界の3レップ手前までにすればバーベルアップライトロウは回復した状態で行えるでしょう。
以下が、種目と重量、ボリューム・相対的強度を調整した6日分の参考メニューです。
バーベルアップライトロウ:4セット 10レップ 限界の1レップ前
バーベルアップライトロウ:4セット 16レップ 限界の1レップ前
ケーブルフェイスプル:2セット 10レップ 限界の3レップ前
バーベルフェイスプル:4セット 12レップ 限界の1レップ前
バーベルフェイスプル:4セット 20レップ 限界の1レップ前
ケーブルフェイスプル:2セット 10レップ 限界の3レップ前
可動域
今まで十分に可動域の重要性を説いてきましたので、そこに関しては割愛します。
しかしながら、肩の種目、特にサイドレイズやアップライトロウに関しては、可動域が広すぎると問題になります。
どこまで高く腕を上げればいいでしょう?痛みを感じずにあげられるところまでです。
痛い場合は、そこまで高くあげないか、グリップの仕方を試行錯誤して関節を痛めないやり方を探しましょう。
化学的ストレスを用いたテクニック
ジャイアントセットやドロップセット、スーパーセットなどはもちろん三角筋中部や後部に使えますが、一番いいのはスーパーセットです。
簡単なやり方はアイソレーション種目(サイドレイズやリアレイズ)をコンパウンド種目(アップライトロウやフェイスプル)とスーパーセットすることです。
ピリオダイゼーション
他の部位と同様に、最初のメゾサイクルは中重量の中レップで行うべきです。
その次のメゾサイクルでも似たような設定で、レップ数や種目を少し変更してもいいかもしれません。
もしくは、1RMの60%程の軽量で高レップで高ボリューム、化学的ストレスを狙ったブロックにもできます。
そのメゾサイクルの後は、3〜4週間程度の短いメゾサイクルで、1RMの70〜85%程の筋力狙いの低ボリューム期間を設けるべきです。
低ボリュームを入れることで、筋肉の感受性をリセットして今後さらに筋肥大しやすくなります。
この期間が終わったら最初のメゾサイクルに戻って繰り返しましょう。
三角筋中部・後部トレーニングの参考メニュー
週に4回、5週間分の参考例です。ポンドからキロに直す際に一部調整しています。
1日目
バーベルアップライトロウ:3セット 10レップ 37.5kg
2日目
バーベルアップライトロウ:4セット 15レップ 30kg
3日目
ダンベルサイドレイズ:3セット 10レップ 12.5kg
4日目
スーパーセット:4セット 限界の2レップ前
①ダンベルリアレイズ:7.5kg
②ダンベルアップライトロウ:7.5kg
1日目
バーベルアップライトロウ:4セット 10レップ 40kg
2日目
バーベルアップライトロウ:5セット 15レップ 32.5kg
3日目
ダンベルサイドレイズ:3セット 10レップ 12.5kg
4日目
スーパーセット:5セット 限界の1レップ前
①ダンベルリアレイズ:7.5kg
②ダンベルアップライトロウ:7.5kg
1日目
バーベルアップライトロウ:5セット 10レップ 42.5kg
2日目
バーベルアップライトロウ:6セット 15レップ 35kg
3日目
ダンベルサイドレイズ:4セット 10レップ 15kg
4日目
スーパーセット:6セット 限界の2レップ前
①ダンベルリアレイズ:10kg
②ダンベルアップライトロウ:10kg
1日目
バーベルアップライトロウ:6セット 10レップ 45kg
2日目
バーベルアップライトロウ:7セット 15レップ 37.5kg
3日目
ダンベルサイドレイズ:5セット 10レップ 15kg
4日目
スーパーセット:6セット 限界の1レップ前
①ダンベルリアレイズ:10kg
②ダンベルアップライトロウ:10kg
1日目
バーベルアップライトロウ:2セット 6レップ 37.5kg
2日目
バーベルアップライトロウ:3セット 8レップ 30kg
3日目
ダンベルサイドレイズ:2セット 6レップ 7.5kg
4日目
スーパーセット:2セット 6レップ
①ダンベルリアレイズ:7.5kg
②ダンベルアップライトロウ:7.5kg
特記
三角筋中部・後部トレーニングでは重量にこだわるあまり、テクニックが悪化してしまうケースが起こりやすいです。
正しいテクニックで出来ている時はかなり重量が軽い場合が多く、見た目はあまりキマらないかもしれません。
しかしながら成長するためにはやることをやらなければいけません。重量で自己満足したり、周りからかっこよく思われることが目的ではありません。
同様の懸念点は、重量の上げ方です。
仮にスクワットが140kgから180kgに1年間で伸ばせると言われたら、かなりの成長スピードだと感じるでしょう。
しかしながらアップライトロウを15kgから20kgに1年間で伸ばせると言われても、それしか伸びないのかと思いますよね。
たったの5kgしか伸びないのです。しかし、重要なのは相対的な重量です。三角筋中部にとっての5kgは、大腿四頭筋と大臀筋にとっての100kgと同程度です。
この他の部位はこちら
マイク・イズラテルのトレーニング理論はこちら