床引きデッドリフトは背中の筋肥大種目ではない理由

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床引きデッドリフトは背中の筋肥大種目ではない理由

「デッドリフトは広背筋や背中の筋肉を大きくするBIG3の種目」とか「デッドリフトをやらないと分厚い背中は出来ない」とか聞いたことありませんか?

正直、床引きデッドリフトは背中の筋肥大には向いていない、と私は考えます。

「デッドリフトを絶対やらないといけない」という思い込みを解くために、その理由を説明していきたいと思います。結果的に、背中ももっと筋肥大させられるはずです。

あくまでボディビルディング的な背中の筋肥大という観点に立って説明しますので注意してください。パワーリフティングやその他スポーツの補強といった筋力の側面 に関しては、今回考慮していません。

床引きデッドリフト中に背中は固定されている

一番大きい理由は、床引きデッドリフトの動作では背中は固定されており、広背筋や僧帽筋の収縮が起こらないことです。

デッドリフトはハムストリングと大臀筋、大腿四頭筋といった下半身の筋肉により挙上されます。あくまで上半身は固めておくだけです。

※デッドリフトでハムストリングをうまく使う方法については、デッドリフトでハムストリングに効かない原因 | フォームと柔軟性と動作慣れが全てですにまとめています。

「トップで肩甲骨を寄せて僧帽筋に効かせる」という話も聞きますが、トップに来た段階では重力に対して角度が浅すぎて、ほとんど負荷がない状態です。

床引きデッドリフトで背中に筋肉痛が来るのは、普段持つことのない高重量を背中で支えるからです。しかしながら背中を動かす種目ではないため、背中の種目としての優先度はかなり下になります。

床引きデッドリフトは腰に負担が大きい

続いての理由は、腰への負担が大きく、怪我のリスクも高いためです。これは背中のトレーニングに限った話ではなく、筋肥大を主目的とするなら、という話です。

腰への負担が大きくなると、他の主要な種目ほとんどに支障が出ます。

ベンチプレス・スクワット・ベントオーバーロウなど、どのような種目をやるにあたっても体幹が重要になるので、腰に疲労が残っていると出力が落ちてしまいます。

また、出力が落ちるだけでなく、最悪の場合オーバーワークになり怪我に繋がります。

筋肥大のトレーニングでは必然的にボリュームを多くする必要が出てきますが、その中で床引きデッドリフトを取り組むと余計に疲労が溜まってしまい、回復が追いつかなくなります。結果として、怪我のリスクが高まるわけです。

まとめると、筋肥大という高ボリュームトレーニングの中に床引きデッドリフトを混ぜると、他の種目に支障をきたし、怪我の可能性が高まるということです。

※パワーリフティング的に考えた場合は、デッドリフトを高頻度でやっても全然問題ない、むしろやるべきだと考えています。デッドリフトの頻度は?週2回はデッドリフトをするべき理由で詳細を説明しています。

床引きデッドリフトは精神的にも疲労が大きい

また、個人差はあるもののデッドリフトは精神的に凄い疲れます。

怪我をしないようにフォームに気を使い、全身に力を入れて、時には気合いを入れないとセットを始められません。

床引きデッドリフトを3セット10レップやった後と、ベントオーバーロウをやった後の疲労感を想像してみてください。デッドリフトの後の種目を追い込める気がしますか?自分はしません...

パワーリフターであれば、デッドリフトの重量だけ伸びればいいので後の種目の集中力が落ちても関係ありません。

しかし、全身の筋肉をバランスよく肥大させるとなると、BIG3だけに集中するわけにはいきません。アイソレーション種目などもしっかり追い込むとなると、デッドリフトでメンタルを消耗するのは非効率的だと思います。

※もちろん、デッドリフトを追い込んでも一切辛くないハードワーカーの方は、この章の話は気にしなくていいです。

背中の筋肥大に向いている種目

じゃあ背中の筋肥大には何をやればいいんだ?という話です。

簡単に言えば広背筋と僧帽筋が動かせれば何でもいいんですが、上から引く系と前から引く系に分けて1:1の割合で取り組めばいいと思います。(種目名の後に(上)・(前)と書いてあります。 )

背中の筋肥大にオススメの種目

  • ベントオーバーロウ(前)
  • ダンベルロウ(前)
  • ケーブルロウ(前)
  • 懸垂(上)
  • ラットプルダウン(上)

グリップは特に指定していません。4〜8週間毎にグリップを変更して少し刺激を変えましょう。

オススメの組み方は、週に2回背中のトレーニングを行い、1回目は前から引く系重視、2回目は上から引く系重視でやることです。身体が回復しやすいので、全力で取り組めるようになります。

デッドリフトの補助種目は筋肥大に向いている

デッドリフトのレップ数に関する記事にて少し触れたのですが、デッドリフトで筋肥大を狙う場合は補助種目にしましょう。

例えばハムストリング狙いならルーマニアンデッドリフト、脊柱起立筋ならデフィシットデッドリフトなどです。

一般的に補助種目では絶対的重量が落ちるため(落ちなかったらやり方が間違っている可能性が高いです)、全身的な疲労も落ちることになります。

床引きデッドリフトでは刺激に対する疲労が非常に大きくなってしまいますが、補助種目なら大丈夫です。そのため筋肥大に超重要なボリュームも稼げます。

デッドリフトの動作を使いながらも、筋肥大を狙いたい人は補助種目を多めに取り組めばいいと思います。

ボリュームに関する記事

床引きデッドリフトと背中の筋肥大:まとめ

結論として、背中の筋肥大を最重視したいなら、デッドリフトをやらずに背中の種目をやろう、ということです。

デッドリフトは疲労が大きいので他の種目に支障をきたし、怪我のリスクも高めます。また、デッドリフトで刺激できるのは基本的に下半身です。

どうしてもデッドリフトを筋肥大目的で行いたい方は、他の種目の支障にならないようにメニュー構成に気をつける必要があります。

ありがちなのが「デッドリフトで重量を追うのに夢中になってしまうこと」なので、筋肥大というゴールを忘れないようにしましょう。

背中の筋肥大について詳しく学びたい方は、マイク・イズラテルの背中トレーニング解説記事を読んでみてください。

読んでくださり、ありがとうございました!


筋トレ研究所管理人

筋トレ研究所管理人

トレーニング、特にビッグ3が好きなパワーリフティング愛好家。マックスは、ベンチプレス135kg、スクワット215kg、デッドリフト255kg。筋肥大と筋力の最大化を目指して日々精進中。

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