「筋肥大には8〜12レップが効果的」って聞きますよね。
しかしながら、研究結果では低レップでも高レップでも筋肥大に差はないということがわかっています。
一般的に8〜12レップが勧められる理由は、簡単にいうとその方が効率が良いからです。
とはいえ、低レップでやるメリットもあります。本記事では、研究結果やレップ数の決め方について解説していきます。
高レップでも低レップでも筋肥大は変わらない研究 *(1)
- 3レップと10レップのグループに分けた実験
- 3レップは7セット、10レップは3セット
- 8週間後、両グループの筋肥大に差はなし
この研究は、レップ数が違っても総ボリューム(重量xレップ数xセット数)が同じであれば筋肥大に差は出ない、ということを示しています。
つまり、高レップだから筋肥大に効くというわけでもないのです。低レップでも十分に筋肥大が起こります。
反対に、低レップグループではベンチプレスやスクワットの筋力がより伸びている傾向が見られています。
低レップで筋トレする方が効率的?
筋肥大に差がなく、レップ数が少ない方が筋力も伸びるのであれば、そっちにしかメリットがないように思えます。
しかし、現実的に考えると依然として高レップの方が筋肥大には効率が良いです。以下が理由になります。
- 高レップ低セットの方が時間が短くて済む
- 高レップの方が肉体的・精神的疲労が小さい
低レップグループは、高レップの4倍弱時間がかかったと報告されています。セット間の休憩時間は高レップが90秒に対して、低レップは3分です。
それに加え、低レップグループの被験者の方が精神的・肉体的疲労が大きかったようです。
考えてみたら当然です。毎回スクワットをやる時に気合いを入れると思いますが、低レップの人たちはそれを2倍以上やっています。
純粋に、高レップの方が短時間で疲労も少なくボリュームを稼げます。そのため、現実的・長期的に考えた場合は、高レップの方が筋肥大に効率が良いということになります。
高レップ過ぎても筋肥大効率が悪い研究 *(2)
- 片方の腕は1RMの20%、反対40%〜80%で実施
- 腕と足を3セット限界まで実施
- 20%実施後に、40〜80%はセット数を調整
- 12週間後、20%のみ筋肥大・筋力向上の効率が悪かった
今回は高レップの中でも、強度別に効果を調べています。なお、強度毎のボリューム差は無いようにしっかり調整されています。
結果として、1RMの40〜80%では筋肥大に大きな差はないものの、20%だけ効果が悪いです。
また、筋力に関しては前述した研究と同じように、1RMの80%が優れた結果となっています。
この研究から、ボリュームが同じなら筋肥大に差はないものの、強度が低すぎると効果が落ちるということがわかりました。
それでは、これら2つの研究から実際にどのようにレップ数を設定すれば良いでしょうか。
どんなレップ数で筋トレすればいいのか?
正直なところ、目的や時期によってレップ数は変わります。誰にでも有効なレップ数はないです。特に筋力系の競技をやっている場合。
一般的に筋肥大を効率化したい場合は、以下のように設定するといいでしょう。
- 基本的には8〜12レップでセットを組む
- 2〜3ヶ月のサイクルで、1ヶ月程度6レップで行う
はい、めちゃめちゃ単純です。
筋肥大だけが目的であれば、低レップを行う必要はないです。関節を痛めている場合などは1RMの40%程でもいいでしょう。
強いて言えば、ずっと高レップでやっていると身体がそのボリュームに適応してしまいます。
そのため、身体をリセットさせる意味で低レップ≒低ボリューム期を用意するといいでしょう。筋力も伸びたらラッキーです。
低ボリュームでも筋肉は落ちない
こちらのディロードに関する記事でまとめていますが、一時的に低ボリュームになっても筋肥大に悪影響はないです。
むしろトップコーチはほぼ間違いなくディロードを必要と考えています。メリットもあると思われているほどです。
身体が小さくなることはないので、たまには低ボリューム期を取り入れましょう。
ボリュームを増やす方法はあるのか?
また、研究結果を見ることで、ボリュームが筋肥大の鍵だということがわかりました。
つまり、ボリュームが増えれば筋肥大の度合いもある程度までは伸びるということです。
ボリュームと筋肥大の関係性
ボリュームはセット数と相関関係が強いです。どの程度までセット数を増やして効果があるのか、1日単位と週単位で記事にまとめているので、読んでみてください。
»筋トレで1日の最適なセット数は?【やり過ぎは良くない研究結果】
»【最低10セット?】筋肥大に必要な1週間のセット数についての研究と考察
ボリュームを増やせば筋肥大の効率があがるなら、当然ボリュームを増やしたいですよね。その方法は当然ですが以下3つになります。
- 重量を増やす
- レップ数を増やす
- セット数を増やす
初心者の方は、簡単に重量が伸びるので重量を伸ばすことに集中しているだけで身体は大きくなります。
中級者・上級者になるにつれ、レップ数とセット数の調整が必要になってきます。
中上級者の方々にはぜひMike Israetelというアメリカのコーチの理論を学んでいただきたいです。最低限のセット数から回復限界まで増やしていくセオリーです。
マイクイズラテルのMEV・MAV・MRVトレーニングボリューム理論 に、理論の解説や部位別の参考例などを載せています。
筋肥大を目的とした筋トレのレップ数:まとめ
結論、レップ数は筋肥大に関係ありません。高レップでも低レップでも筋肥大します。
時間や疲労度の観点から、高レップの方が現実的に考えて実施しやすいのみです。筋力を高めたいなどの理由があれば低レップ高セットもありだと思います。
結局は、個人のゴールとどのような時期なのかによります。噂に左右されず、自分で判断できるようにしましょう。
読んでいただきありがとうございました!
参考文献
- Schoenfeld, Brad & Ratamess, Nicholas & Peterson, Mark & Contreras, Bret & Tiryaki-Sonmez, Raziye & Alvar, Brent. (2014). Effects of Different Volume-Equated Resistance Training Loading Strategies on Muscular Adaptations in Well-Trained Men. Journal of strength and conditioning research / National Strength & Conditioning Association. 28. 10.1519/JSC.0000000000000480.
- Thiago Lasevicius, Carlos Ugrinowitsch, Brad Jon Schoenfeld, Hamilton Roschel, Lucas Duarte Tavares, Eduardo Oliveira De Souza, Gilberto Laurentino & Valmor Tricoli (2018) Effects of different intensities of resistance training with equated volume load on muscle strength and hypertrophy, European Journal of Sport Science, 18:6, 772-780, DOI: 10.1080/17461391.2018.1450898